16___




サッカー部所属で緑のしっぽのような髪の毛が特徴の緑川リュウジくん。いつも私の事を先輩!といって慕ってくれる可愛い後輩である。諺が大好きで人懐っこいのに加え、私のマル秘恋愛テクニックにマニュアルの如く反応してくれるから、だいぶ私は気に入っている。そんな可愛らしい彼でもれっきとしたオトコであったはずなのだが…


目の錯覚という線も疑ったが、いくら目を擦ってみてもやはりリュウジくんはセーラー服を着ていた。少し恥ずかしそうにしている事が私に目の前の状況が現実だと訴えている。あぁ、現実逃避の道が途絶えた……



「名前じゃないか」


リュウジくんの事をストーキングする体制にはいっていた私は、急に背後から声をかけられて大きな悲鳴をあげそうになった。とっさに手で口をふさいだ私を誰か評価してくれてもいいんだぞ。てゆうか、ふふふふ風介くんんん!?まずいまずいまずい…!誰にも会わない予定で来たからノーメイクはもちろん服だってほぼスウェットだ。いや、私がすっぴんに自信がないわけではない。というより化粧で誤魔化している人たちに比べればむしろ勝負所かもしれない。…でもやはり普段よりは薄い顔をしているわけで、好きな人の前では最高で在りたいというか……。うん、乙女だな私。


「どうしたんだそんな……」


自分の姿に焦りつつも、何かを言いかけた彼にジェスチャーで静かにと訴える。すると不思議な顔をした風介くん。


「あれ、さ…」


ひそひそと話ながらリュウジくんの方を指差すと、みるみるうちに瞳孔が開く風介くんの翠の目。そりゃ驚くよね。てかよく声出さなかったね。


「緑、川……なのか…?」

「おそらく」

「何故だ」

「いや知らんし」


瞬きを繰り返す風介くん。恥ずかしそうに俯きながらケータイを弄るリュウジくん。すっぴんでリュウジくんをストーカーしながら風介くんと会話する私。……よく考えたら私が一番まずいんじゃないのか……?



「待たせたね、緑川」

「遅いよヒロト!恥ずかしかったんだから!」

「ごめんごめん、でも違和感ないから大丈夫だよ」

「全くフォローになってないよ!」


なんとリュウジくんの元へ、サッカー部のキャプテンである基山くんが迎えに来た。基山くんは至って普通のメンズの服を着ている。はっきり言おう。カップルのように見える。


「緑川、髪の毛も下ろしちゃいなよ」

「は、ちょ、ヒロト!?」

しゅるる

「あはは、本物の女の子みたいだね」

「ちょっと!?」



「…………あれはイチャイチャと表現してもいいのだろうか?」

「……微妙だよね」


それから彼らはどこかへ出掛けていった。で、デートなのか?オトコ同士の禁断の恋なのか!?私は彼らの行方が家で開きっぱなしのパソコンぐらい気になったが、さすがにこれ以上つけたらまじでstkになってしまうので風介くんと相談してやめることにした。うーん、明日聞かなきゃ。こうして私はかなり遅れながら買い物へと向かった訳だが、帰りがけに風介くんが言った言葉の真意は何だったのだろう?


「私だったら講習の面前で男とイチャイチャなんてしないね。するなら家で女と、というのがセオリーだ」


……それ、普通ですよ風介さん。










「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -