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「………名前、」
「わかってるから言わないで」
「………」
何故怜名が朝から怪訝な顔をしているかなんて一目瞭然。なぜなら私がいつもなら絶対におかさない過ちをおかしたからだ。あぁ、もう最悪!
「怜名、隈の取り方教えてよ…」
「そんなもの簡単じゃないか、寝ればいい」
しかし隈以前にやつれきっていると思うのだが。
怜名がそう私の事を苛める。そんなもん自分が一番わかってんだよこんちくしょう。あああ私の美貌が台無し…!っていうかこんな顔をクラスメートになんて見せらんない!さらには風介くんになんて!
「一体どうしたんだ隈なんて…」
「昨日風介くんのアドレスゲットして、メールして、その後も余韻で寝れなくて、そんで…」
…あれ、怜名の顔がにやけている。私なんかおかしいこと言ったっけ。
「……?」
「いや、なんでもない」
「いやいや、なんでもない顔じゃありませんよ怜名さん」
「その顔じゃ誰にも会えないだろう、保健室で寝てこい。担任にはなんとか言っておく」
「ほ、ほんとに!?怜名ありがとう…!」
「いや、面白いのが見れたからな」
なんだか上手く話を反らされた感が否めないが、一人綺麗な顔でニヤニヤと笑う怜名は恐ろしかった。ディズニーとかでよくある実写版白雪姫にでれるよ、まじで。そして私はというと怜名に感謝しつつ、顔を全力で隠しながら保健室に飛び込んだのであった。保健室の先生が出張のため、難なくベッドに横たわることが出来たのは不幸中の幸いってやつだろう。