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「差し入れだぁ?」
真っ赤な色をした、チューリップを頭で栽培しているみたいな髪型の男の子がやって来た。後ろからは風介くんも。やばいやばいやばい
「あ、名前」
「ふ、う介くん!」
うわ、噛んだ、恥ずかしい…!でもそれどころじゃない。問題は風介くんが喜んでくれるかどうかだ。
「えっと、クッキー作ってきたんだけど…食べてくれるかな…?味の保証はありませんが…」
ロフトで買った女子力MAXなタッパーを両手で持ちつつ、若干上目遣いなかんじに俯いて、顔を左斜め45゜に傾ける。くるんとビューラーで綺麗にカールアップされた自慢のまつ毛に、控え目な言葉遣いでポイントアップだ。我ながら完璧。
「ほう、旨そうだな」
「クッキーじゃねぇか、いただきー!」
「……」
……もうなんなんだコイツら…!!!!!風介くんだけならまだしも、赤いチューリップでさえ私の渾身の一撃を受け流しやがった。意味わかんない、なにそれ。ヤバイな、自信喪失の危機。
「ん、うまいじゃねーか!」
「なかなか美味しいな」
「あ、よかった、甘いの大丈夫な人だったんだね」
「風介は大好物だもんなぁ」
「アイスも甘いものに限る」
風介くん甘いの好きなんだ…!すこし風介くんに対する知識が増えた。これからはもっと増やしていかないと、私の攻撃が効かないんだからまずいぞ。
「名前、」
「ん?」
後ろで見えないようにガッツポーズを決めていると、急に風介くんに呼ばれた。一体なんだろう、と反射的に振り向く。
「美味しかった、また作ってくれ」
頭が真っ白になった。
………攻撃しにいったはずなのに逆にときめかされてどうすんの、私………