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今日は朝からいい天気。雲1つない空は澄み渡ってキラキラと輝いている。
「言っていることと表情が真逆だぞ」
「だってぇぇぇぇ」
「うるさい」
「ひどい!」
そんな綺麗な空だというのに私たちは教室で弁当を食べながら昨日の話をしていた。
「てか怜名さぁ、風介くんも基山くんと怜名つきあってると思ってたよ」
「あんなやつとは死んでも付き合わん」
「そんなに嫌いなんだ」
そういえば昨日ものすごい嫌そうな顔してたなぁ…なんて回想してみる。あれはほんとにすごかった。
「そんな事より名前は凉野とどうなんだ。上手くいきそうか?」
「それがさぁ、私の必殺営業エンジェルスマイルが効かないんだよ!!!!」
「だろうな」
「なんで!?ちょっと風介くんって新人類なの!?宇宙人!?」
「あながち間違ってはいないが…お前の安っぽい色仕掛けにかかるような奴ではないな」
「や、安っぽい…」
「とりあえず、奴は鈍感だ」
「な、なんだぁー…焦ったー」
「でも安っぽいのは事実だぞ」
まったく怜名は毒舌すぎる。とはいえ風介くんをオトすのはなかなか骨が折れそうだと思った。これからどうしよう。
その時、廊下から怜名を呼ぶ声がした。この声…!
「八神、いるか?」
「どうしたんだ、凉野」
「サッカー部、明日の放課後から行かせてもらう。ヒロトにも言っておいてくれないか」
「わかった。あと書類、渡しておいたぞ」
「助かる」
「礼ならコイツに言え」
こそこそと端の方で隠れるように会話を聞いていた私に、怜名は話をふった。い、いきなり…!風介くん驚いてるじゃんか!
「名前か、この間はありがとう。助かった」
「い、や全然大丈夫!」
「明日からよろしく頼むぞ」
「もちろん!」
ダメ元で使ってみたエンジェルスマイルがまた破れ去ったのは私の心に突き刺さった。まじで効かない…!TPとGPが100減りました。ちーん。だめだ、ベンチに行こう、そうしよう。
怜名に先行ってると告げて私は自分の席へ旅立った。