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「あ、私、?」
「そうだ、お前だ。昨日ヒロトの彼女と一緒にいただろう」
「ヒロトのかの……え゛ぇ、あの二人ってやっぱり付き合ってたの!?」
「ちがうのか?」
「いや、そうかもしれない…」
パコーーーン
玲名の噂をしていると、すがすがしい音と共に頭に上履きが降ってきた。玲名のだ。うわ、どこで見てやがる…
「それでアイツにこれを渡しておいて欲しい」
渡されたのは何かの書類。サッカーがなんとかと書いてあったから部活関係だろう。玲名、サッカー部の副部長をやってるしな。因みに部長は基山くんで、私も暇な時にはマネジメントをしに行ったりもする。
「ヒロトが今日は休みだからな」
「そっか、えっと、私、名前っていうの。よろしくね」
「あぁ、私は風介だ。今度からサッカー部に入る。」
「そうなんだ…!私、たまにマネージャーやりに行くからまた会えるね!」
そろそろ緊張も解けて、本調子に戻る私。
いっけぇ、必殺スマイル!
「あぁ、よろしく」
あ、れ。
効かない…?まさか。たまたまだ。きっと。
その時、休み時間の終わりを告げるチャイムが鳴り響き、渋々風介くんと別れ、玲名とともに自分の教室へ帰った。
「ねぇ玲名」
「なんだ?」
「玲名ってさ、基山く…」
「ありえない」
「ですよねー」
即答した玲名の横顔が基山くんを本当に嫌がっていることを物語っていた。