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ちょうど眠気がピークに達するお昼後の世界史の授業。
私だって例外ではないわけで、もうだんだん意識が朦朧と…
コロン
やっば、消しゴム落とした。
運悪く、向こうの方までコロコロと転がって行ってしまったマイ・消しゴム。ちなみに名前はジョセフィーヌ。
えっと、一番近いのは誰だ。
あぁきっとあの人だ、山口くん。
「山口くん」
こそこそと話しかければ振り返る彼。
寝ているようだったら起こしたら悪いと思ったが、真面目な彼は起きていました。よかったよかった。
「あのね、足元の消しゴムを取ってくれると嬉しいな」
さぁ出ました。名前ちゃんの必殺・営業エンジェルスマイル。またの名を悪魔の微笑み。あれ、名前のギャップぱねぇ。
「あ、うん。これ?」
「そう、ありがとう!」
う、うん…と口ごもり、顔をほんのり赤く染めて俯く山口くん。あらら、簡単にかかってくれるわね。じゃあついでにシャー芯もらっちゃお。
「ねぇ山口く…」
ゴン
「いい加減にしろ」
痛い。玲名に教科書で殴られた。世界史の教科書って分厚いから地味に痛い!
すると目の前にことりと置かれたシャー芯。
「意味もなく男をたぶらかすな」
こうやってツンデレな玲名にキュン、とかしちゃってる内は少なくとも彼氏は出来なそうだ。