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別にお父さんが超ダンディーなわけでもなければ、お母さんが昔はクラスのマドンナだったりするわけでもない。
しかしながらそんな平凡な2人の間に生まれたのはとても可愛い女の子だった。
そう、それが私。
ラヴポーション!
「名前、まだ彼氏いないのか?」
「だっていい奴いないじゃん」
「…ワガママ発動」
「うるさい」
そりゃあ私がその気になれば彼氏の一つや二つなんて簡単にできる。
でも肝心な事は、私の恋愛観にあるのだ。
本当に好きな人とじゃないと付き合いたくない。
今時そんな事を言うと、固いだとか古いとかって言われるけど、これは当たり前だと私は思っている。
つまり、私は生まれてこのかたずっと恋をしていない。
そして私のそんな事情を知りつつも毎日のように彼氏の有無を訪ねてくる目の前のクールビューティーは玲名。ちょっと、何ため息ついてんのよ。あんただってキレイなくせに彼氏いないでしょ。欲しくもないんだろうけど。
「お前は自意識過剰すぎる」
「いいじゃない、別にナルシ全面に出してるわけでもないし―」
「まぁ実際お前に引っかかるバカ共がいるからそうなるんだけどもな」
ひどい言い草だ。私は一度も告白をOKしたことなんてないのに。これ以上なんか言うようなら基山くんの名前でも出してやる、と密かに試みていたのに、それきり玲名は話題を変えてしまった。畜生。