プロローグ

診療が終わり、帰り道。

私は澪から言われたことを思い出していた。

"この術、使うの初めてやからいつ聞くのかわからへんのや…ごめんな…"

まぁ、私のエゴで術をかけるようお願いしたし、澪を信頼してるから責める気など毛頭無いけど。


などと思いながら歩いていると、夜空に輝いていた月が、消えた気がした。


『!?』


驚いて学生鞄を落としてしまう。


『…あれ?こんな書類、持ってたっけ?』


中身を確認していると、住民票の入った封筒が。


『…え?住所が変わってる?え?これ鍵?え?体縮んでる?』


その住民票には知らない住所と私の名前。
鞄の中には知らない鍵。
体は縮んでいて、…小学校低学年ぐらい?

え…中身中学生なのに?

混乱しすぎて頭がパンクしそうだ。

そんなとき、更なる追い討ちが。


『…え?浮世絵…町…?』


あの、リクオの住む町。
浮世絵町と書いてあった。
携帯を開いてみると…


『…え?』


年が戻っていた。

つまり…私、小学生に戻って…トリップした、と?

時間は同じ夜だった。


『…ほう。つまり年だけ戻ったと、澪…』


私に小学生からやり直させてくれると言うのか…


『でも、家族構成なし…って天涯孤独って…まぁへいきだけど………』


なんだか今夜は血が熱い…


体の血が疼くのを感じながら、取り合えずその辺を捜索してみることにした。

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