突然の来客

「許せねぇ」


「ど…どけ!!リクオ!!お前に何ができる!!」


後ろの会話が聞こえた時、私の体は後ろへ引っ張られた。


「下がってろ」


夜リクオだった。
それを知らない鴆は必死にリクオを下がらせようとする。

リクオは何処からか出した刀を抜き、蛇太夫の口へ刀を食い込ませると頭から尾にかけて切り裂いた。


「「!!!」」


その途端に流れ出る血液。
私は見馴れていてよかったと思った。
一般人ならトラウマだろう、こんなのを見たら。


「う…うお…」


「な…なんじゃこいつらぁ〜」


「ひ、引け〜!!」


「ひけ〜」


闘争心を無くし我先にと逃げていく妖怪達。


『…ふぅ…』


私は溜め息を付いた。


「……あんた…誰だよ…」


リクオの豹変ぶりに気付かない鴆は困惑した様子で言った。


「よう鴆。この姿で会うのは初めてだな…お前は四年ぶりだな」


リクオはこっちを見ながら言った。


『…覚えておられましたか。私の存在など居なかったことにして下さればよかったのに』


私は下を向いたまま答えた。


『あ、それと鴆様、私がリクオ様の配下の者、と言うのは嘘なんです…』


「嘘だぁ!?」


『そうでもしないと貴方は私を信じてはくれなかったでしょう?あの時は1分1秒惜しかったのです。…火の煙りは有毒、鴆様が危うかったのです』


私は嘘を告白した。
鴆さんは、最初怒っていたようだが、理由を聞いたあと、頭を撫でてきた。


『…鴆様?』


「…ありがとう。お前は後で自分がお咎めを受けるのを承知で嘘を言ったんだな…別に咎める気などない」


『鴆様、しかし…』


「鴆がそう言ってんだ。それでいいだろ?」


『!!…はい。ありがとうございます…』

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