夜の校舎を練り歩く

「あんたなんて消えればいいのよ」


「死ねばいいのに。こっち来んなよブス」


「だっだめ!みのりちゃんに…そんなこと言わないで!!」


(ダメ…私なんか庇わないで…)


「うるせー!」


(ダメ…ダメ…)


『だめ―!!!!』











―…‥

『だめっ!!っ…はぁ…はぁ…』


飛び起きた私の目に入ったのは、和室。


『和、室…?…っ…』


背中が痛んだ。
恐る恐る触って見ると包帯が。


『え…?』


「目が覚めたみたいだね、良かった…」


『…奴良くん…?』


襖を開けて入ってきたのはリクオで。


「うん。…昨日のこと、覚えてる?」


『えっと…カナちゃんを庇ったのは覚えてるんだけど…』


ホントは覚えてる。
でも覚えてる何て言ったら奴良くんは困る。
だから言わない。
嫌われないようにしなきゃ…


そんな焦りが、私の中に生まれた。


「そっか…昨日はね、旧校舎に不良が居たんだ。で襲ってきたんだ。みのりちゃんのはその時の傷」


『そうなんだ…あの、名前…』


「え?嫌だった…?」


焦ったように言うリクオ。


『…ううん。嬉しかったの』


「そっか…っ!!みのりちゃん、なんで泣いて…!!」


『え…?』


リクオに言われ頬に触れると、確かに涙が…


『…ごめん』


私は涙を拭き取った。

その時やっと、来ていた服が和服に変わっていたことに気付いた。

なんか…軽い浴衣…?


『あれ?これ…』


「あぁ、服?…そっか、説明してなかったもんね。ここは僕ん家なんだ。で、ここは僕の部屋。昨日みのりちゃん不良にやられて倒れたから…」


『そうなんだ…』


「…怪我の具合はどう?まだ痛む?」


『大丈夫。こんな傷ぐらいなんともない。』


リクオside


『大丈夫。こんな傷ぐらいなんともない。』


嘘だ。

僕は本能的にそう感じた。

笑顔だけど違うよ…
みのりちゃんの笑顔は…みのりちゃんはこんな苦しそうに笑わないよ…。

いつも見てたんだ。

騒ぐ清継くん達を見て、優しく微笑んでりみのりちゃんを…

あの笑顔は…こんなに苦しそうじゃなかった…



なんで、1人で背負うの…?


「…わかったよ」


でも言わない。

いつかみのりちゃんから話してくれるまで…。


「それと、今日一日は安静にしてること。わかった?」


『うん。ありがとう』


「それと服なんだけど、破れちゃってるから、これ来ていってって母さんが」


『奴良くんのお母さんが?…これって着物?』


「うん。母さんがみのりちゃんに似合うからって。もらってほしいって」


『そんな高そうなものダメだよ!!』


「いいから!!僕外で待ってるから、着替えてね」


『え、あの…って行っちゃったよ…』


リクオってこんなに強引だっけと思いつつ長襦袢だけは自分で着た。
でも…


『私着物の着方なんて知らないよ…』


そんなとき奥の襖が空いた。


「失礼します。」


入ってきたのは翼をしまった黒羽丸。


「お忘れものです」


と私のペンダントを私に渡してくれた。


『ペンダント…』


「余程大事なものなんだろ?」


黒羽丸は微笑んだ。

私も自然と微笑みを浮かべる。


『はいっ!!…ありがとうございます!!』


「あぁ。…所で」


『はい?』


「お前、早く着物を着ろ…」


黒羽丸は顔を赤くして顔を背けながら言った。

…勝手?に入ってきたの黒羽丸さんじゃないですか…と思いつつ苦笑を浮かべ理由を話す。


『…着方が解らないんです』


黒羽丸はめをまるくし、ため息をついて言った。


「……着付けてやる」


『ありがとうございます…』


…溜め息着かれた。

私は微妙な心境でお礼を言った。

…いつの間に敬語消えたんだろ

以外に手が器用な黒羽丸は、数秒で着物着付けてくれた。


『おぉ…流石』


「ほぅ…似合ってるな」


『ありがとうございます。奴良くんのお母さんが選んでくれたらしくて…』


「若菜様が…そうか。それじゃ、気を付けてな」


黒羽丸に改めてお礼を言って、奴良くんのいる方の襖を開けた。

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