ぐだぐだ | ナノ
『私は将来、女子プロの道へ行く』
「おお!本当か!?」
円堂はなまえの言葉に目を輝かす。
『行きたい、じゃなくて“行く”な。
行きたいでは弱くて実現しそうもないから』
「そうか!
だったら…俺もプロになるんだ!」
『私の真似せんでもお前はそう言うだろ』
自身の真似をしようとする幼なじみに思わず笑いが零れる。
なまえは一息つき、円堂を見据え口を開く。
『守』
「なんだ?」
『お前は例の高校行きたいか』
「ああ!」
『じゃあお別れかもな』
「…えええ!?
なんで!?なんでだよ!」
円堂はなまえの言葉に慌てて詰め寄る。
『お前の行きたいであろう高校に女子サッカー部がないからな…高校は流石に男女別だ』
「あ、なんだそう言うことか!」
『はっ!? お前大分あっけらかんだな!?』
落ち込む円堂を想像していたなまえは予想外の返答に肩透かしを食らわされた。
「なまえが遠い高校行く為に引っ越しちまうのかと思ったよ!」
『…アホか、精々隣の県だろ普通。遠い所なんて大学じゃあるまいし』
同じ高校へ行けずに落胆するかと思えば、意外とそうでもないようだ。
なまえはそんな円堂の様子に一抹の寂しさを覚えた。が、
「学校違ってもさ!サッカーは出来るだろ?
家近いんだしさ!」
『…ああ、そういう事か』
円堂が全く寂しそうにしない理由はそういう事らしい。
『でもさ、果たしてそうも言ってられるかな。
お互いの学校の事で忙しくならないか?』
「何言ってんだよ!
サッカーで学校が違う鬼道や吹雪達、皆に会えたんじゃないか!」
『…ああ、そうだよな』
今も交流の続く仲間達を引き合いに出されれば、納得してしまう。
遠い地に住む…果ては同じ言語ですらない人物とすら交流が続くなら、近くにいる幼なじみは。
「でも、なまえが遠いとこ行っちまっても、俺絶対会いに行ってるぜ!皆に会ってるみたいに」
『ああ、間違いないな』
「それにプロになるなら絶対分かれちまうよな…男子と女子に」
『まあ体力的にな』
「でも絶対俺なまえとサッカーし続けるぜ!」
『そうだな』
分かれてしまう不安なんてなかったのだ。
例え別々の道を歩んでいても、見る先は同じなのだから。
064 将来の夢
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