ぐだぐだ | ナノ
ゴールデンウイークの最終日。明日からまた学校が始まるのかと思うと気が思い。
せめて最後の日はだらだらして過ごそうと心に決め、なまえは自室に向かったのだが、
ドアを開けた瞬間、見覚えある同級生達の姿があって一気にテンションが下がった。
「よ、邪魔してるぞ」
「…なんでいんの?」
「お前の母親があげてくれた」
「お母さああぁあん!!」
部屋を飛び出し、階段の上から叫ぶと下からひょっこりと顔を覗かせる母親。
「なにー?」
「なんで勝手にあいつらあげてるの?!」
「お友達だっていうし、玄関で待たせるのも悪いでしょ〜」
「いいんだよ!こいつらは玄関っていうか外で待たせてれば!特に霧野」
「おい」
カンに障ったようでいつの間にか側に来ていた霧野がなまえの頬を引っ張った。
柔らかいその感触を楽しみながら、ニイといやな笑みで言った。
「お母さん、おじゃましてまーす」
「はいはい〜。ゆっくりしていってね〜」
「ありがとうございまーす」
頬を引っ張っているのは下からは見えないらしく、母親はにっこりと笑うと奥に戻っていってしまった。
「んで、何でうちに来たのよ。今日はごろごろだらだらして過ごす予定だったのに」
「いいだろ。ほっとくとお前ニートみたいな生活してんだから」
「霧野、これは何だ?」
「へ?拓人知らないの?ポテチだよ」
「ポテチ…あ、うまい」
「なに食べてんだよ。霧野よりマシかと思ってたらお前も同じだな。二人揃って帰れ」
「まあ…いいじゃないか」
まるで自分の家のようにリラックスしている二人。本気で勘弁してほしい。霧野なんて散々部屋を漁って最終的に本棚から恋愛小説を出して目を通していた。
(なんか違和感ないなあ…)
なまえがそんな事を思っていると、突然霧野が笑い出した。
「この話って、ありきたり過ぎるだろ。互いに両想いで、気持ち伝えられなくて、他の女子に嫉妬して、好きだって………ないない」
「お前は読むな。この話はお前にはまだ早い」
「CMで白いしゃべる犬が言ってたよな」
「なまえ、霧野、今から俺の家に来ないか?練習していた曲が弾けるようになったんだ」
「ほうほう…」
拓人がこの間から部活の合間をぬって練習していた曲。出来るようになったら一番に聞かせてほしい、と言ったのを覚えていてくれたらしい。
「いくいく!霧野は?」
「もちろん行くっ!」
そうして3人で家を出て神堂の家に向かった。
今日こそは外出しないと決めていたのに、やはりそれは叶わないらしい。
神堂と霧野と居るとつい自分らしくなくなる。だが、それでいいような気がした。それだけ自分が二人の事を信頼しているというらしい。
045 ゴールデンウィーク
-->kiryuさま