リカー&スパイス1

○社会人パロディ 同棲中○



「たでーま」
ガチャリとドアを開けて玄関に入る。

「おかえり。早かったのう」
リビングから月詠が顔を出した。

「おう、銀さんが本気出せばこんなもんよ
ったく、あのマダオ上司、ふざけんなよ。休日の朝っぱらから電話かけてきやがって
しかも、面倒な案件。」



昨日は金曜で、久しぶりに大勢の友人を家に招いて飲んでいた。
皆、翌日が休みということもあり、少々ハメを外しながらも、酒の入っていない月詠がフォローを入れてくれたおかげで、程良く盛り上がった宅飲みであった。
終電時間にお開きとなり、電車が間に合わなかった者には、タクシーを呼んだ。
その後片付けをして、家主である銀時と月詠の2人が眠りに着いたのは3時過ぎだった。

ゆっくり昼まで寝る予定だったのに、8時過ぎに会社から銀時に宛てて電話が鳴り、起こされた。
なんでも、1人では仕事を対処しきれないから手伝ってほしいと
その案件は途中までは銀時がやっていて、最終段階で上司長谷川に引き継いだものだったため、緊急ヘルプが来たのだ。


銀時は二日酔いでガンガンする頭を押さえながら、よろよろと支度した。

「大丈夫か?」
そう言いながら、胃薬とウコンを差し出す月詠には

「帰り、多分遅くなるわ」
と言って、重い足取りで家を出た。



幸運にも、日付を跨ぐかと思った業務は思いのほか早く片付き、夕方に粗方終わったので

「んじゃ、あとは、頑張って〜」
と押しつけて帰って来た。



疲れた〜と言う風にネクタイを緩めた銀時は
ふと、いい匂いが台所からしているのに気が付く。

「飯、作ってくれたのか?」

「あぁ、こんなに早くなるとは思わなかったが、早めに作っておいて正解じゃったな。」

「さっすがツッキー、良い奥さんになるぜ」

「な、何をバカな事言っておるんじゃ。
さっさと着替えて来なんし。」

「照れちゃって、カ〜ワイイ」

後ろ手に、手をひらひらさせて、寝室に入って行った。

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