兎と月の十五夜計画


○銀月・沖神前提の月詠と神楽○



月詠がひのやで昼の間店番をしていると
神楽が1人でやってきた。

「珍しいのう。ぬし1人とは」

すると、神楽は少し意気込んで言ってきた。
「あのね、ツッキーお願いがあるネ。
お団子の作り方教えてほしいアル」

「お団子・・・?」

「月見団子アル」

「あぁ、明日は中秋の名月だったのう
しかし、それなら、銀時に訊いたらよいのではないか?
わっちよりあやつの方が上手じゃろう。」
何故、わざわざ吉原までやってきたのか合点がいかない。

「だって、銀ちゃんと一緒に作ったら、全部食べられてしまうアル」

ははぁ〜成る程。沖田と一緒に月見したいのだな。
と月詠は大体の事情を察した。
しかし余計なことは言わず、分からない振りをしておく。

「ふむ、一緒に食べたい相手がおるんじゃな」

「え、な、何言ってるアルカ?!」

「顔に書いてありんす」

「うぅ・・・そうアル。
だからツッキーに頼みに来たネ」

「そうか、まぁ、わっちも得意ではないが、材料はあるからな、
やってみようかのう。
確か、日輪と晴太が明日作ると言ってレシピを書いていたはず・・・・
あ、あったあった、これじゃな。

なになに・・・材料は白玉粉・上新粉・砂糖・水。」


という訳で、女子力アップ企画
神楽と月詠の月見団子作りが始まった。

2人とも手を洗い、エプロンをつけて、準備万端だ。



分量を計り、怖々混ぜて成型していくが・・・・
「あ、神楽、水入れすぎじゃ!!」

1度目、失敗。
敗因、水の入れすぎにより、纏まらず



そして、再度分量を計りなおして、気をつけながら水を入れて粉を練っていく
力を入れて捏ねる・・・

「あ、しまったアル!!」
ガシャーンと音を立ててボールが作業していた台所テーブルから落ち、今度は中身が床に落ちてしまった。

2度目、またしても失敗。
敗因、力の入れすぎによる、ボールの落下



気を取り直して、再び分量を計る、失敗する、を繰り返すこと数回。

ついに日輪の堪忍袋の緒が切れ

「あんたたち、材料全部ダメにするつもりかい?」
と氷の笑顔で怒られた。

もう次は失敗はできない。

ラストチャンス
慎重に分量を計り、丁寧に水を加えながら捏ねる。
そして、纏まってきたら、一口大に成型していく。
今回は順調だ。

そのあと、鍋に湯を沸かし、団子を湯がいていく。
1分ほど茹でて、表面に艶がでて、水面に浮かんできたものから氷水にとっていく。
そして水気を取ったら完成だ。

茹でる作業が危なっかしすぎて、見ていられなくなった日輪が手伝ってくれた
というより、ほとんどやってくれたので、茹で加減はバッチリだ。



「できたアル!!」

「うむ。頑張ったのう
形の綺麗なのを選んでこのタッパーに入れなんし。
明日の夕方取りにきたら良いじゃろう」

「え、いいアルカ?」

「うむ。明日月見の前に、積み重ねたらよかろう。」

というわけで、できたお団子は一晩ひのやで保管し、明日の夕方に神楽が取りに来ることになった。





翌日の夕方、約束通り神楽がひのやにやって来た。

「神楽、待っておったぞ。
これがぬし達の分じゃ。」

そう言って、前日に用意しておいたタッパーに、もう1つ団子を詰めたタッパーを足して、紙袋に入れて渡す。

そして日輪が横から、
「あ、神楽ちゃん。これ、昨日私が炊いた餡子なんだ、持って行っておくれ」
一回使い切りくらいの量の餡子を小瓶に入れて一緒に持たせてくれた。
ついでに
「沖田さんによろしくね」
と付け加えてウインクしてきた。

「え、なんで知ってるアルカ?」

「うふふ、内緒だよ。ね、月詠」

「ぬしは、全部顔に出るからのう」
2人の温かい笑みに見送られて、お団子を持った神楽は真選組に向かった。


嬉しそうに駆けていく神楽の後ろ姿を見送った、月詠。

さて、日が落ちれば、きっと銀時がひのやにやってくる。

(わっちも三宝に団子を盛って待っててやるとするか)
残りの団子を綺麗なピラミッド型に積んでいく。




西の空が、朱色に染まりだした。東の空には一番星が光りはじめる。
空は薄雲がかかる程度に晴れている。
今夜は月見日和。

仲良くお団子を食べよう。



【終わり】


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