昼過ぎの勤務時間真っ最中だったため
「一番隊隊長は外に出ていていつ帰るか分からない」
と入口で言われた。
いつの間にか顔パスになってた私を若い隊士が通してくれたから、あいつの部屋の縁側に腰掛けて待つことにした。
暖かいから暑いに変わりつつある季節。
空は綺麗に晴れて、気持ちがよかった。
穏やかな青空を見ていたら、穏やかな気持ちになってきて、あれこれと思いを巡らせた。
総悟は顔だけはいいからな・・・
年も所謂適齢期に入り出す
一目惚れした〜なんてお嬢様からの縁談の話もそのうち来てしまうだろう。
アイツはそういうの興味なさそうだけど、
上に強く言われたら
「断るのが面倒だ」とかいうフザケタ理由で受けちゃうかもしれない。
十分あり得る。
そんなのイヤだ。
アイツの顔しか見てないような、顔しか知らない女になんか渡せない。
渡したくない。
私がほしいのはアイツの魂(こころ)
意地を張って、みすみす敵に渡してしまうなんて絶対にイヤだ。
欲しいものは欲しい。
渡せないものは渡せない。だから、何が何でももう一度こっちを向かせたい。
必ず取り返してみせる。
そんな風に思いを新たにした。
「不法侵入して何してんでィ」
ふいに不機嫌そうな声が廊下の方から聞こえたので、そちらに顔を向ける。
予想通りに今しがた考えていた男がこちらに向かって歩いてきていた。
きっと一筋縄ではいかないだろう。
だからと言って、私の決意は揺るがない。
フッと不敵な笑みを浮かべて真っ直ぐに相手を見つめる。
「話があるネ」
さぁ、fightのゴングは鳴った。
諦めてなんかやらないからな。
覚悟しろよ。
[終わり]