例えば、お腹が空いたとか疲れたとか、そういったことを言っても絶対に歩みを止めてはくれない。
でも、もう限界で歩けない時、その倒れる寸前に抱きかかえて受け止めてくれる。
そういうヤツなのを知っている。
だから私はコイツに自分の背を安心して預けられる。
本当の本当に危ない時は助けてくれるって分かっているから
だから逆に、コイツが絶体絶命の時は、必ず助けたい。
なんでだっけ
何がこうなって、こんな大勢に囲まれてるんだっけ?
いったい何人いるんだろう?
ひぃ、ふぅ、みぃ・・・・やめよう。眠くなっちゃう
こんなに数の上では圧倒的に不利なのに
私たちは焦りなんて微塵も感じていない。むしろ2人して最高に楽しそうな顔していると思う。
そういう所は似た者同士なんだろうな。
「チャイナァ、先にくたばるんじゃねェぞ〜」
「あたぼうヨ。オマエこそ、先に膝ついたら一生笑ってやるからナ」
「ぬかせェ」
背中越しに憎まれ口を叩きながら、お互いにバタバタと敵を倒していく。
事件としてはよくある話。
たまたま埠頭の倉庫の辺りを2人で歩いていたら、見るからに怪しい男たちがコソコソとその中に入って行った。
それを尾行したら、密売取引の真っ最中だったから、取り押さえようと乗り込んだ。
勢いよく踏み込んだはいいものの、予想以上に人数が多く、後から後から湧いてきて、ちょっと困っちゃってるってなわけ。