それから沖田と神楽で、墓石に水をかけ、お花を供えて、お線香をあげた。
最後に2人で墓石の前に立ち、手を合わせ終わってから、沖田が口を開いた。
「毎年来てくれてたのかィ?」
「おうヨ」
「俺達が付き合うようになってから、毎年か?」
「もう少し前からネ。一度銀ちゃんが行ったのに付いてって、次の年から1人で来てるアル」
「そう・・・か」
「何ヨ?」
「いや、ありがてェな、と思っただけでィ」
「何がヨ?」
「こんなに、俺達のこと見てくれてる人達がいるってことがな」
「よく分かんないアル」
「まぁ、分かんなくてもいいんだけどな」
沖田は空を見上げてからゆっくりと視線を戻し、神楽の目を真っ直ぐ見た。
「まぁ、言えることは
今日、オマエが来てくれて嬉しかったってこった」
「へ?あ。そ、そうアルカ。よかったアル。
嫌な顔されたらどうしようかとも思ってたアル。
でも、そろそろ一緒に来てもいいかナと思って・・・・
一応銀ちゃんにも相談したんだケド『お前のしたいようにしたらいいんじゃねぇのか』って言われたネ。
それで、どうしようかと思いつつ真選組に行ったら、もう出たって聞いたから、直接ここに来てみたアル」
「そうかい・・・まったく、旦那には敵わねェなァ。
このために早起きしてくれたんだな。」
「な、何言ってるアルカ?そんなことないネ!!私はいつも早起きアル!!」
図星を指されて慌てる神楽の反応に、沖田は嬉しそうに笑い
そして、ワタワタしている彼女の頭を大事そうに撫でた。
しばらくそうしてからその手を戻し、優しい目を向けた。
「やっぱ、お前しかいねェな。」
小さく呟かれた言葉は、神楽の耳へは途切れ途切れでしか聞こえなかった。