3Z設定 恋人未満
今日、3年生は外部模試
みんなで揃って数駅先の会場まで電車に乗って受けに行った。
朝から夕方までの長丁場だった。
その帰り、みんなが乗った電車を一本乗り過ごした、生徒が2人。
沖田と神楽
駅のホームではいつも通り、2人でぎゃんぎゃん言い合いをしていたが
一日中試験を受けてさすがに疲れたのか、電車に乗ってからは静かになった。
2人とも眠そうに隣り合って座っていたが
神楽のほうが先に、睡魔に負けた。
沖田が横を見たときにはすでに、コクリコクリと頭が揺れていた。
それから、神楽は何度かガクンと後ろに仰け反り、窓にコチンと後頭部をぶつけては、「うーん」と軽く呻くのを繰り返すこと数回
何度目かの呻き声に、沖田は見兼ねて
「ったく、しょうがねぇなァ」
神楽を起こさないように気をつけながら、彼女の頭をグイッと自分の肩に乗せた。
そして
「今日だけ、だからなァ」
言い訳するようにボソリと呟いた。
程なくして、沖田も眠りに入った。
電車の衝撃によって、彼の頭がずれて横に落ち、彼女の頭の上に乗った。
その少し後に目を覚ました神楽が、寝ぼけた頭でその状況を理解して
沖田を殴るのを暫し、躊躇ったとか、躊躇わなかったとか。
ついでに、実は一部始終を、引率で付いて来ていた銀八先生と坂本先生に見られていたことを、青春真っ只中の2人は知らなかった。
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「なぁ、辰馬、なんなのあれ、殴りこみに行っていいですか、コノヤロー。
何、あいつ等、俺へのあてつけなの?」
「あっはっはっはっは〜
うらやましいがか〜?
金八、男の無い物ねだりはみっともないぜよ〜」
[終わり]