なんであんなことになったのか、なんてもう分かんねェ。
色々と順番すっ飛ばしちまったのは、百も承知だ。
でも、抱きたかった。
そう、ただ単純にそれだけだったと思う。
アイツが最初もその後も俺を拒まなかったのは
半分は憐憫の情なんじゃねェかと思う。
俺が、ただひとえに、あまりに必死に求めてたから、自分の差し出せるものを提示してくれただけなんじゃねェかと思う。
そりゃ、こんなのダメだ。ちゃんとしなきゃって思ったけど
時間がたてば経つほど、言えなくなって
惰性でそのままの関係に甘んじていた。
もしかしたら俺は、いつかアイツの方から『やめよう』と言ってくるのを待っていたのかもしれない。
自分から何かを手放すってのは、結構な勇気がいるもんなんだ。
でもアイツは、こういうのを許せない部類の人間だ。
だから、向こうから手を放してくれればいいと心の底の方で思っていたのかもしれない。
そのうちは来ると思っていた終わり。
それは突然やってきた。
初めは何を言っているのか分からなかった。
情けねェことに。
でも、晴太にこの前、2人で路地に抜ける所を見られていたらしい。
だから、もう行かないと
キッパリした声で告げられた。
そりゃそうだ。まだ幼い弟に、こんな言葉にするのが憚られるような関係言えやしねェよな。
物分かり良く、引いた。
クソ真面目なアイツは色々考えたり悩んだりしたんだろう。
悪かったな。こんな俺の我儘に付き合わせて。