惑い月3




それから、毎日のように銀時はやってきた。
そして、わっちをというよりは、わっちの周りの空気を見ているようだった。

そんなことが数日続いたため、堪りかねて問うた

「ぬし、いったい何なんじゃ。
ここ数日ずっとそんな調子じゃが」

「あーいや、あのな。
こんなこと言っても信じないとは思うけど、俺な、結構霊感ある方なんだわ。意外と。
んで、たまに見えちゃうんだわ。スタンド的なモンが。
で、オマエの周り、数日前から何人かちらついてんだ。」

「そうか。
まぁ、心当たりは山ほどあるからのう」

あぁ、だからか。
どこかで『やはり』と納得した。

「死期の近いヤツの周りには居るんだよ。
で、まだ生きてるヤツを彼岸にひっぱるんだよ。」

「よく知っておるな」

「俺の周りにもよく出て、引っ張ってきやがるからな。」

あぁ、それで。
と思った。
確かに、こやつもまた、自分と同じようなことになるのだろうな。
この男にも自分と同じように、過去にいくつもの悔恨が胸に刺さったまま残っているのだろう。
詳しく聞いた事も、話されたこともないが、たまに見せる言動と怒りを感じるポイントから、そうだろうなと推測される。

「でも、オメーの周りにいるのは初めて見たからな。
オマエの師匠が死んだときだって、なかったから。
だから、何かあったんじゃねェのかと思ったまでだ」

「先日、師匠の一周忌だったんじゃ。
墓参りには行ったが、たまゆらの間、此岸に来ておるのかもしれぬな」

吐き出した紫煙を目で追いながら、自分の言葉を鑑みて
あぁ、そうかもしれぬと
自分でも納得した。

「まぁ、なんともねェならいいんだけどよ、ちょっとばかし気になっただけだ」

「心配掛けてすまぬな。わっちなら大丈夫じゃ」

銀時はというと、ふ〜んと言いたげな目でこちらを見てから
「じゃ、帰るわ」と言ってやる気なく歩いて帰って行った。


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