そして、10年後
境内には、黄色い落ち葉の絨毯の上を、はしゃぎまわる2人の子供の笑い声が響いている。
そして、それを少し遠くから眺める両親、銀時と月詠の姿があった
「おーい、あんまり走ってコケるんじゃねェぞ〜」
「楽しそうじゃのう。ぬしも混ざってきたらどうじゃ?」
「おい、月詠。テメー俺をガキ共と同レベルだと思ってんのか」
「違うのか?」
クスクスと笑いながら言う月詠に
銀時は(もういいよ)と言う風に軽く嘆息した。
そして、夫婦で、相変わらず高く聳えるイチョウの木を眺める
「一緒に来るようになって、10年くらいか?
早いもんだな。今年も無事に来られたな。」
「そうじゃな。
お互いに道端でくたばることなく、わっちは妻となり、母となり毎年この風景を見る事ができておる。
小さな事だが、なんと幸せなことだろうな。」
月詠は柔らかい笑顔を向けた。
それにつられて銀時も自然な笑みが浮かんだ。
「ありがとう」
「これからもよろしく」
2人から自然と言葉が口をついて出た。
毎年恒例の夫婦行事、子供が生まれてからは家族行事となっている。
さあ、今年もこれから子供たちと一緒に葉っぱを拾い、帰ってから辞書に挟み、押し葉を作ろう。
【終わり】