静心なく


桜は満開で今がまさに見頃。
しかし、今週末の雨ですべて散ってしまうだろう。
そんな取り留めのない話をひのやの店先で銀時と日輪でしていたら

月詠はこう言ってきた。
「そうか、それは惜しいのう。
満開の桜など見たこともないが、数多の詩歌に詠まれているのだから、それはそれは美しいのでありんしょう。」
と。そして、わずかに上を向き、無意識に少し寂しそうな笑みを浮かべていた。

銀時はその表情と諦めたような口振りにやるせなさを感じた。
そして気付けば言葉が口をついてでていた。
「明日、花見行くからな。ぜってー来いよ。仕事とか無粋なこと言うんじゃねーぞ、コノヤロー」
あ、いや、コノヤローは言わなくてよかったか…
と聞こえた気がする

**

そんなやりとりがひのやの前であった翌日
宣言通り花見が行われた。
日輪の「いっておいでよ、百華のみんなには私から言っておくから」
と有無を言わせないものを感じる後押しもあり
万事屋の3人と月詠・晴太で日輪の作ってくれたお弁当を広げることになった。

「綺麗じゃな…」
「月詠姐、お花見したことなかったんだよね
キレイでしょ?来て良かったでしょ?」
屈託のない笑顔を見せる晴太に月詠は
「あぁ、そうじゃな」
と笑みを向ける。
そこから会話が盛り上がり
「月詠さん、お花見したことなかったんですか。
じゃあ、また来年もみんなで来ましょうよ。」
「そうネ、
キレイなもの見て心をリフレッシュさせることが乙女には必要アルヨ、ツッキー。
ま、こんなメガネと天パと一緒ってのがイマイチあるけど、急だったからしょう
がないって諦めるネ。」
「ちょっと神楽ちゃん、それどういうこと!
まるで僕が冴えないみたいじゃないか!!」
「みたいじゃなくて、実際に冴えないネ
いい加減認めろよな駄メガネ」
「駄メガネ言うなー」
割と常識を持っている青年と激辛チャイナ娘のいつもの会話も、
どこか和やかに聞こえる…気がしなくもないわけでもないかもしれない。


→続く

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