ずっとずーっと昔から 1


○恋人設定○




サクサクサクと落ち葉を踏みしめながら
階段を登って行く。

街外れにあり、駐車場の広くないそのお寺は、参拝客も少なくひっそりしていて
昼過ぎの時間、銀時と月詠の他には誰もいなかった。

やや段数の多い階段を上がりきった先に広がる境内の中ほどに、立派な1本のイチョウの木が、その葉を見事な黄色に色づかせて聳えていた。

その佇まいを、月詠が言葉もなく気圧されるように見入っていると

「スゲーだろ?」
少し前を歩いていた銀時が振り返りながら言ってきた。

「あぁ、こんなに見事なイチョウは初めて見た。
綺麗じゃ。」
そう返しながら男と一緒に木の近くまで歩み寄った。

近づくと木の高さがよりはっきりと感じられた。
10mは優に超える、どっしりとした幹を持つ大木に歴史を感じる。

「イチョウ並木もいいけどよ、こういうデッカイのもいいもんだろ?」

木を見上げたまま言われたので
月詠も、上を向いたまま答える

「そうじゃな。
この木はずっとずっと長い間、この寺で人の営みを見守って来たのだな。
自然に比べ、わっちら人の生はいかに儚いものかと思い知らされるのう。」

「そうだな。
だからこそ、俺たちは精一杯生きなきゃなんねぇな、と来る度に思わされるんだよな」

「ぬしにそんな殊勝な事を言わせるとは、やはりこのイチョウはスゴイのじゃな」

「んだと、コラァ」

軽口を叩いたところで
銀時が銀杏を拾いだした。
用意のいいことにビニール袋を持参していた。

月詠も拾いだす。
一緒に、落ちたばかりの色形の綺麗な葉を一枚二枚と一緒に手に取った。
それに気付いた銀時が声をかけた。

「おー結構綺麗な葉が残ってんな」

「うむ。晴太の土産に良いかと思ってな」

「辞書とか厚めの本に挟んでおくと、上手く押し花みてェになんぜ」

「そうか。では、帰ったら挟んでおくとしようかのう」

暫くすると銀杏を入れた袋が半分くらいになった。

「こんなもんか。
あんまり食いすぎても体に悪ィらしいし」
よっこらせという風に屈めていた体を起こす

「これだけあれば、茶碗蒸しが沢山できるのう」

「日本酒のアテにすんだよ」


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