roses are red 2




そんな感じで、イライラが消えることなく、チャイナとは険悪なまま、バレンタイン当日になった。


朝、教室に入ると既に、むわぁ〜と甘ったるいチョコレートの匂いが充満している。
女子たちは、お互いに「これ友チョコ〜」「ありがと〜これ私から〜」
と言いながら、あちこちでチョコの交換会が行われている。


あーうぜぇなァ

もちろん、隣の席のチャイナも、仲の良いヤツらにチョコレートを渡したり、もらったりと忙しそうにしていた。


朝のホームルームが終わった後は、担任の銀八にワラワラと女子がチョコを渡しに行く。
行き過ぎた甘党を公言して憚らない上、意外と人気者の先生なので、チョコレートをあげやすいキャラなんだろう。
先生は、嬉しそうに受け取り「あ、お返しはしねェからな」と言っていた。
「え〜何それ〜ありえなーい」と、気にした風のないキャッキャした返しをする雌豚共・・・もといクラス女子たち

チャイナもそんなヤツらに混ざって、チョコを渡してした。
最前列の席ってのァ、要らない事まで見えていけねェ


「銀ちゃーん、これ私たちで作ったアル。
ありがたく食べるヨロシ。」

「げっ!!マジでか!?
それ、地球外暗黒物質入ってたりしない?
西瓜に塩かける的な大雑把な食べ物じゃない?
俺、開けるのすっげぇ怖ェんだけど・・・・」

「銀ちゃん、姉御にボコボコにされたくなかったら、そのあたりで口を慎むヨロシ。
そして、私たちの気持ちをありがたく受け取れヨ」

青い顔をした銀八に、チャイナはチョコの入ってる紙袋を無理やり押し付けて満足そうな顔でニカっと笑った。



どことなく浮ついた空気感の一日も、帰りのホームルームが終わると日常の放課後となる。
いや、いつもより早く人が捌ける。
やれチョコを渡しに行くだ、やれ彼女と会う約束をしているだ、と
予定のある輩はさっさと帰って行く。

俺はと言うと、英語の小テストをサボったペナルティの課題を提出しなきゃならなかったので、職員室に行くという用事があった。
軽く説教をくらって数十分後に戻ると、教室は既にガランとしていた。
しかし、1人だけ座っているヤツがいた。
俺の隣の席の女だ。
なにやら複雑な顔をして前方にぼんやりと視線を向けていた。

俺も付き合って、隣の自分の席に座ってみる。


無言が続く
お互い特に意味もなく、前を向いている。

暫くしてそれに飽きた俺は、頬杖をつき、視線を横に動かす。
チャイナは相変わらず、小難しい顔をして前を睨んでいる。


ふと、隣の机の横に小さな紙袋が下がっているのに気が付いた。
銀八に渡していた袋と同じようだった。
配る用のチョコレートが余ったのだろうか?


→続く
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