roses are red 1


3Z設定 恋人未満




『バレンタインは、例え五円玉チョコでも貰えるだけで嬉しい』

なんてェ話をよく聞きやすがねィ
そりゃあ、言葉の綾ってもんでさァ

貰えるモンは貰っとくに限るが

欲を言やァ、ちゃんとしたヤツがいい
序でに言うなら、ほしい相手からもらえりゃあ、言うことはねぇってェ訳なんでさァ

まァだから、要らねェヤツ等から欲しくもねぇチョコレートなんざ受け取る義理はねェんでィ







「おい、そんなガンつけんなよ」
「土方さんが、うぜぇからでさァ」
「あんだと、このヤロー」

くっそ
イライラする。


バレンタイン直近の金曜日
女子たちが楽しそうに話をしている。
みんなでチョコ買いに行く計画だとか、一緒に作る約束だとか
キャピキャピした声が教室のあちこちに響いている。

この華やいだ空気感は、男子にとって居心地悪いものである。


隣の席の胡散臭いアルアル言葉の女もまた、上記の部類に入っていて
仲の良い、妙や九兵衛と何やら計画を話しているようだった。


あ〜くそっ
やっぱりイライラすらァ


だいたい、あいつがみんなでチョコを作る予定だとか、楽しそうに担任の銀八に話していて
―それを横目で見てた訳だが―
そしたら、突然くるりとこちらを向いて
「可哀相だから、お前にもやるアル
ま、神楽様の手作りチョコなんてオマエにはもったいないから、チ○ルチョコだけどナ」

とか、生意気なこと言いやがったから、ついカチンと来て

「要らねェよ。
オメーなんかに貰わなくても、俺ァチョコレートに困ったことなんざねェからなァ」

なんて、言わなくて良いことを言ってしまつた。

『あっしまった』と思ったときには、もう後の祭りで
チャイナは僅かに顔を歪めて、寂しげな表情を浮かべていた。
しかし、すぐにその傷ついたような顔を引っ込めて

「そうアルカ。
余計なお節介して悪かったナ」
と言い
しっかりと、べーっと舌を出してから、ふんっと鞄を掴んで教室の後ろのほうに屯している女子の輪に入って行った。

あー言い過ぎたねィ・・・
毎年姉上からバレンタインのチョコレートを貰う。甘いものがそんなに得意でもねェ自分にはそれで十分だ。
なんだけど・・・


くっそ、だからなんで
俺がこんなにイライラしなきゃなんねェんでィ


→続く
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