そしてまた2人A



大亜



一番近いカップルっていうのは、どこの家でも自分の親なんだと思う。

だから、無意識のうちに、カップルってこんな物なんだっていう雛型は親の関係になってるんだと思う。

うちの親はと言うと
全くベタベタしてないし、ラブラブなところなんて見たことないけど
お互いが相手を尊敬して大事にして信頼しているのが、分かる関係だ。
小さい頃から、ずっと変わらず。


彼氏ができたら、自然とお父さんとお母さんみたいな関係になれるモノだと思っていた。
現実はそんなことないということを知り、それを受け止めるまで結構時間がかかった。

思春期の頃は、母に直接言ったこともある。

「付き合ったら、みんなお母さんとお父さんみたいになるんじゃないの?」って

そしたら、母は少し困ったような複雑な表情を浮かべながら
「わっちらは少し変わっているからのう。
皆が皆、そうなる訳ではないじゃろう。
人はそれぞれじゃ。1人1人違う付き合い方がある。お互いが丁度良い関係を築いていくのは、大亜が頑張ることなんじゃ。
しかし、まぁ、ぬしに彼氏ができたことは、お父さんには黙っておこうな。
でないと、また邪魔したり妨害が入ったりするじゃろうから」

お茶目にウインクしながら言われたりした。



ちゃんと聞いたことはないけど
うちの両親は、昔色々あったらしい。
確かに、2人ともあり得ない程強いし、顔もやたら広い。

母は、最近まで第一線で仕事をしていた。
だから、20歳の娘息子がいるとは思えないほどの引き締まった体に曲線美が綺麗だ。
ついでに服だって色っぽく着こなす。
私は、そんなお母さんと一緒に買い物に行くのが楽しい。

父も、たまにマジな目をするとものすごく強い。
昔からお父さんの広い背中と大きな手は頼もしくて、安心する場所だった。
怒ると怖かったけどね。


そんなウチの両親

何となく似通った雰囲気があって、一般の『とーちゃんかーちゃん』といった中年臭さが全くない。
良く言えば気が若い。悪く言えば掴みどころが無い。

2人セットで見ると、お似合いだ。息が合ってる。
相手の言わんとすること、やらんとしていることが自然と分かっている事が当たり前で
それを前提として、動いている。


それがカップルってものだとずっと思っていたし
今は、そんなカップルになれる事が目標だ。



私は、明日嫁に行く。
きっと父は大泣きするだろう。意外と涙もろい人だから。
そして、その横で、母は父にハンカチを差し出してあげながら私に「幸せになりなんし」と声をかけてくれるだろう。

私はあなたたちの子供に生まれて幸せでした。
沢山の幸せをもらいました。

あなた達のように
柔らかい空気のように相手を想える夫婦になれるように頑張ります。


娘も息子も家を出て寂しいかもしれない
でも、2人なら、今までと変わらず過ごしていく姿が目に見えるからきっと大丈夫よね。


今までありがとう。

これからも、私の理想の夫婦でいてね。



→続く
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