そしてまた2人@


銀月夫婦設定 双子あり・大亜&武路躯 20歳



武路躯



『子はカスガイ』
と世間では言われるみたいだけど、うちには当てはまらない。

何というか
うちの両親は、子供がいてもいなくてもこんな感じなんだろうと思う。

いつも喧嘩していて
(だいたい親父に原因があったり悪かったりするんだけどね。
そんで、口でも実力行使でも、お袋が勝つんだけどね)
主導権は完全にお袋にある。

でも、本当の本当にピンチの時は親父が本気で、家族を守ってくれる。
そりゃもう、圧倒的な強さで。
その時の親父は男の俺だって思わず縋りたくなるくらい、カッコ良い。

お袋も本気を出したらだいぶ強い。
もうあまり本気を出すこともなくなったようだけど、小さい頃からよく護ってもらっていた。

でだ、そんな強い2人なわけだから、さぞかし体育会系な夫婦かと思いきや、全く違う。

甘党でマジでぐうたらでだらしない親父、真正のマダオ父と
人付き合いが得意な訳ではないが、意外と情に脆く、空気が読めて人を纏めるのが上手いリーダー気質の母親
2人とも人に何か強制するタイプじゃないんだ。
必要ならさりげなく手を貸す。という親の下、俺たち兄妹は伸び伸びと育った。


うちの両親は、よく言う『仲のいい夫婦』というモノではないだろう。

ハッキリ言って、ラブラブで仲良しな姿なんざ見た事もねェ。ていうか、そんなの気持ち悪ィ。
でも、馬が合っているとでも言うのだろうか。
行動・考え方はもとより、なんというか性質的なものが似通っている気がする。
だから、相手のやろうとしている事、考えていることが分かって、先回りしてフォローしたり、言葉をかけているのをよく見てた。

だから『ここぞ』という時は、意見が一緒だったり、息が合っていた。



あれは、まだ幼かった頃
5歳くらいだっただろうか。

母の膝でウトウトとしていた俺は、背中を優しくさすられながら暖かい声が落ちてきたのを、夢現で聞いていた。

「ずっとずっと、伴侶なぞ要らぬと思っていた。
子供を持つ資格などないと思っておった。
しかし、不思議なものじゃな。
わっちは、今こうして、ぬしたちがいてこの上もなく幸せじゃ
銀時に、大亜と武路躯に、逢えてよかった。」



俺が小さかった時も、20歳を過ぎた今でも2人の距離感や遣りとりは変わっていない。
多分、2人が結婚する前から変わっていないんだろう。
そして、子供が家を出てからも、いくつ歳を取っても変わらないんだろう。

この2人を繋いでいるのは、家族という形だけじゃない。
それ以上に、お互いが似ていること、そして一緒にいて心地よいという感情なんだ。

子供いるから成り立っている家族じゃなくて
2人が夫婦になった結果として子供が生まれて、夫婦から家族に絆が深まった
という関係なんだと思う。


だから、俺は安心して家を出ていける。

そりゃ、初めは寂しがるだろう。
親父はああ見えて意外と大の寂しがり屋だから。



でも、心配はしてない。
だってあの父母なら、俺たちがいなくたって自分達らしくやっていくから。




→続く
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