ひざよりやや短い丈の白いニットワンピースにマフラー代わりの襟を付け
厚手の黒いタイツに包まれた足がヒールのない歩きやすいブーツにおさまっている
羽織ったダッフルコートに小さめの赤い鞄を斜めにかけて
頭には耳あてを装着していた。
「いざ、行くアル!」
鏡の前で気合をいれた神楽は、12:30に家を出た。
駅まであとで100mというところで、前方に見慣れた亜麻色の髪の毛の後ろ姿を発見した。
「あ、サド」
そう大きな声でもなかったが、神楽の呼びかけに男が後ろを振り向き
彼女の姿を認めた。
「チャイナ。早ェじゃねェか。」
「オマエこそ、10分前行動ができるとは思わなかったアル。」
なんだと?という視線がぶつかり合う。
ふんっと鼻をならしてから
『おっ?』という顔をした沖田が言ってきた。
「クリスマスだから赤い鞄なのかィ?」
「え?いや、特にそういう意識はなかったネ。
オマエもクリスマスだからカーキのダッフルにしたアルカ?」
「いや、そういうつもりじゃなかったんだけどな」
(あ、2人ともダッフルだ)
と同時に気が付き、少し沈黙が流れる。
「じゃ、行くかィ」
「おう。
で、どこ行くつもりネ?」
「大江戸遊園地
あそこのはここらじゃ一番大きいツリーらしいぜィ」
「私が言ったから、考えてくれたアルカ?」
「ま、一応な」