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翌朝
早めに起き出したツッキーと順番に洗面台を使って
朝ご飯を食べた。

そして、私のシャツを着たツッキーは
「すまぬ」といってから、バタバタと家を出て行った。

ったく、最後まで謝ってんじゃないわよ。


私も片付けしたり準備したりしてから、家を出た。彼女に遅れる事30分くらい。

駅に向かってしばらく歩いていると
前方に男の人が立っているのが見えた。

銀色の髪の毛が朝日に反射しているその人は、通勤途中ではなく、明らかにそこで人待ちをしていた。

「そんなところで待ってたって、ツッキーは来ないわよ」

後ろから声をかけると
ビクッと肩を震わせて、私の想い人はこっちを向いた。
朝から銀さんに会えるなんてラッキーだわ。

「おはよう、銀さん。」

「やっぱ、アイツはさっちゃんの所に行ってたんだな」

「そうよ、で、今朝も早くに出て行ったわよ。
忙しいみたいね。」

「はぁぁ〜無駄足かよ・・・
アイツが世話になって悪ィな。突然でビックリしたろ。
じゃあな。」

そう言って私の進行方向とは反対に歩いて行った。
利用駅が違うのだ。
その立ち去ろうとしている背中に声をかける。

「銀さん。
何があったのか詳しくは聞いてないけど。
ツッキーをあんまり困らせないであげて頂戴。
仕事も忙しいみたいだし。
隠してたけど、少し肌が荒れてたから、ストレスも溜まってると思うわ。

私、ツッキーが来ることなら別に構わないわよ。
銀さんこそ、あんまり駄々捏ねてツッキーに愛想尽かされないようにね。
私はツッキー泊まりに来てくれたら楽しいし大歓迎だけど、銀さんはツッキーいなかったら淋しいんでしょ?
あんまり困らせてたらさっちゃんが取っちゃうゾ?

じゃあね。急がないと遅刻するわよ」

それだけ言うと、カツカツと駅に向かって歩き出す。
ポカンとしていた銀さんが
「あ、おい・・・」と言ってた気がする
「ったく、どいつもこいつも・・・」と言っていたのは聞こえなかったことにしておくわ。

だいだい、なんで私がこんなこと言わなきゃいけないのよ。
2人の仲直りを取り持ってあげなきゃいけないのよ。

それより何より
ツッキーが辛い思いしないでほしいって思っちゃってる自分が一番問題よ。
全く、これだから困るのよ。
参ったわね、想い人を前にしても、友達がこんなに大事なんて

あぁ、もう!!
今日は飲んで帰るわよ。
金曜日だし、とことん飲むわよ。

幼馴染の全蔵を付き合わせてやる。


ふんふんふんと足取り軽く、駅までの道を進む。

そう、私は
現代の疲弊した社会と日々激戦を繰り広げる、愛のハンターさっちゃんなんだゾ


【終わり】
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