more than friend2
ピンポーンと今度は玄関ドアの呼び鈴が鳴らされる。
「は〜い、はいはい、ちょっと待ちなさいってば」
ガチャリとドアを開けると、すまなそうに眉を下げたツッキーが立っていた。
謝りの言葉を言わせる前に話かける。
「もう、なんで上着なしで外出てんのよ!!
まだ夜は冷えるのよ、分かってる?女の子は体冷やしちゃいけないんだから。
早く入りなさいよ。」
指先の冷えている手を取り、問答無用で家の中に引っ張りこむ。
「え、あ・・・すまぬ・・・」
「まったくこの期に及んで何謝ってんのよ!!」
「いや・・あの・・・その・・・ありがとう」
ふんっと鼻息を荒く出して、私は先に靴をぬいでリビングに戻って行った。
ツッキーは何度もウチに来ているし、勝手は分かってるはずだから玄関先に置いてっても、リビングに入ってくるはず。
部屋の奥に向かって、キッチンでコンロに火を入れようとしていたところでツッキーが部屋に入って来た。
思ったより早かったじゃない。
「どうせご飯まだなんでしょ?
しょうがないから私が手料理振る舞ってあげるわよ。手を洗ってきて」
「すまぬ。洗面台を借りる・・・」
だから、いちいち謝ってんじゃないわよ。私とツッキーの仲じゃないのよ。
2人分の食事をテレビ前のローテーブルに運んだところでツッキーが戻って来た。
寒かったからだろう、湯気を立てている味噌汁を見て嬉しそうな表情を浮かべた。
「じゃ、さっさと座って食べるわよ。
私が楽しみに見ているドラマ始まっちゃうから。」
「あ、あぁ。」
ストンと私の横に座る。
「「いただきます」」
一緒に食べる人がいれば、こうやって手を合わせるのよね。1人だと忘れがちだけど・・・
「ぬし、今日は納豆じゃないんじゃな」
「私がいつも納豆ごはんだと思ったら大間違いよ。
ヒラメのムニエルの気分のことだってあるわよ」
食べながら、始まったドラマを見る。
2人だと、感想言い合ったりするのよね。
「このドラマって、前回良い所で終わったやつじゃな?」
「そう。次回も視聴者に見てもらおうって魂胆がミエミエなのよ。
でも、見ちゃうのよ」
「こんな古風な考え方をする女子はおらんじゃろう」
「は〜やっぱり、この相手役の男の人、色気がハンパないわ〜
彼を見るためにこのドラマ見てるようなもんだし」
「そうか、ぬしは、こういうのがタイプなのか」
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