千夜月待〜ひととせ〜U



救急車が到着するまでの間も、銀時を始めとした周りの人々がずっと月詠に話しかけていたが、意識が戻る事はなかった。
隊員に同行していった銀時の代わりに、新八は吉原や知り合いに電話をかけて知らせてから神楽と病院に向かった。


病院に着き、看護婦さんに病室を聞いて向かうと
その病室の廊下には、ベンチ型の椅子にうなだれるように腰かける銀時がいた。
皆が近づくと、虚ろな目を動かして関係者が揃ったことを確認したようで、手短に近況を報告してきた。

「まだ眠ってるが、取りあえずは大丈夫らしい。
今日は面会謝絶だとよ。もう少しで検査結果が出るから家族は残ってくれだと。」

そうして、銀時と日輪は残り、新八・神楽・晴太は先に帰った。


その夜、遅くに帰った来た銀時に
「どうでした?」
と訊くと
「明日、日輪がみんな集めて話することになったから、吉原行くぞ。
それまでちょっと、休ませてくれ」
それだけ言うと、逃げるように自室にひっこんでしまった。

何か良くないことがあったんだということは分かったので、その日は無理に聞き出すことをせずに、そっとしておいた。



翌日、昼過ぎに吉原に行った。
ひのやには、日輪を中心に百華や大勢の人が集まっていた。
万事屋が来たことで全員揃ったようで、すぐに話が始まった。


「みんな、集まってもらって悪いね。
早速本題だけど・・・
昨日、月詠が倒れたのは知ってるね。
病院の先生の話では・・・だいぶ進行した重病で・・・
もう、長くは・・・・

保ってあと半年、らしいんだ・・・」

途中何度も言葉を切り、込み上げてくる想いを押しとどめて、漏れそうになる嗚咽を押し殺して、日輪は淡々と語った。

「あの子には、言わない事にしようと、銀さんと決めたんだ。
病院で寝たままなんて可哀想だから、出来る限りここに帰って来られるようなんとか取り計らってもらえるよう、先生に掛け合ってみるつもりだよ。
だから、みんな、普段通りに接してやってあげおくれ。」

涙ながらに言う母親の肩に手を置く晴太の頬には、大粒の涙がとめどなく流れていた。


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