千夜月待〜ひととせ〜T
こんな夢を見た
眠っている自分の横に、誰かが寝ている。
それはとても見慣れた光景で、自分はその人に腕を回した体勢で横になっている。
相手は自分の胸に顔を埋めるように眠っている。
腕と胸に伝わる柔らかい感触に『ああこの人は女なんだな』と思う。
その人の体を引き寄せようと、少しばかり腕に力を込めようとしたところで
目が覚めた。
つい先ほど見ていた夢と同じように横向きに寝ていた銀時は、その横に出来た虚空の空間へ遣る方なく腕を伸ばしていた。
あの柔らかな感触はなんだったのだろうか。
『柔らかいもの』としてすぐに連想されたのは定春だ。
試しに抱きついてみる。
モフっとした毛並みが気持ちいい・・・と思う間もなく、ガブリと頭から噛みつかれた。
違う。違う。これじゃない。
と、全力で自分の体を定春からひっぺがしながら確認する。
あの感じがこんな・・・生温かいというよりも、ぬるっとした血を頭からダラダラと流す、なんて物騒なモンであってたまるかってんだ。
ありゃあ、もっと穏やかな充足感みてーな感じだったと思うよ、うん。
さわり心地もこんなんじゃなかった。
もっと・・・・
そう、もっと体温が近い暖かさを伴っていた。
3[
*前] | [
次#]
[戻る][TOP]
[
*前] | [
次#]
[戻る]
[TOP]