繋いだ手の中には愛


8月も後半入ったというのにまだまだ残暑が厳しい。それは夜になっても変わらず、蒸し暑さがじわじわと襲ってくる。それなのに浴衣をきてカランカランと下駄を鳴らしながら走っている俺がいる。今日は夏祭りだ。

「みんなで夏祭り行こうぜ!」この円堂の一言が始まりだった。賛成する俺たちに音無が「浴衣でも着ていったらどうですか?」と提案するとマックスと一之瀬が賛成し浴衣を着て集合という結果になった。そして今、着付けに時間がかかり遅刻した俺は走っているというわけだ。みんな怒っているかな、とか思いながら集合場所である鳥居まで行くと俺と同じく浴衣姿の風丸だけがいた。きっとみんなは先に行ってしまったのだろう。

「遅いぞ半田」

風丸は腰に手をあてて「みんな先に行っちゃったぜ」と言った。それに対し「ごめんなさい」と謝ると風丸は笑いながら「別にいいさ」と言った。

「半田と2人っきりでいられる」

じろじろと俺をみた後、急に真面目な顔で「こんな可愛い半田をあいつらに見せたくないしな」、そう言ってまた笑った。顔から火がでるとは正にこのことだろう。すごく恥ずかしい。でもそれ以上に嬉しいのは俺が風丸を好きだからだと思う。


鳥居をくぐるとすぐに人ごみに入った。風丸を見失わないように注意していても人ごみで流されそうになってしまう。流されまいとつい風丸の浴衣の裾を持ってしまった。それに気づいた風丸が「裾なんてもってどうしたんだ?」と聞いてきた。

「はぐれそうになったから..」
そう答えると風丸は笑って

「なら、こっちの方が頼りになるだろ」

と手を差し出してきた。その手をおずおずと緩く握ると風丸は「それじゃあ、すぐにはぐれちゃうぜ」と言って俺の手を強く握った。

「これでいいな」

「あ、あぁ」

「じゃあ行こうぜ」

歩き出した風丸を見ると声音こそ普段通りだが耳は赤くなっていて風丸もドキドキしてるんだな、なんて考えてしまう。それがどうしようもなく愛しく感じた。風丸はまだ強く手を握ってくれている。俺も今度は強く握り返した。







遅くなって申し訳ありません!沙姫様のみお持ち帰り可です。




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