寒いのは冬のせい



ゆるく冷たい風が吹く道を俺は1人で帰っていた。いつもは風丸も一緒なのだが先程俺からの一方的な喧嘩をした上に「別れる」宣言までしてきてしまったため風丸はいない。

「はぁ...」

自分の馬鹿さ加減にため息がでた。喧嘩の原因は告白のために呼び出された風丸がキスされていたのをみてしまったことなのだが相手の女子からの一方的なキスであって風丸がした訳ではない。つまりは風丸は悪くないということ。なのに俺は勝手に怒って「別れる」宣言して教室を飛び出してきてしまった訳だ。さっきからしきりに後ろをみるが風丸は追いかけてきてはくれなかった。

「当たり前か..」

ぼそりと呟く。別れると言ったのは俺なので風丸に文句など言えるはずがなかった。隣に風丸がいないだけでなんとなくいつもより寒い気がした。今は冬だし寒さなどちょっとしたことで変わってしまう。だから今日は偶々いつもより寒いだけだと自分に言い聞かせながら歩く。

「風丸の馬鹿」

好きなのに何時も素直に言えない。どうしてこうも上手くいかないのだろうか。家までの道は街灯があるのに暗くてコートを着ているのに寒くてなんだか泣きそうになった。ふと携帯を開くと着信が10件。全て風丸のものだ。かけ直してちゃんと謝って気持ちを伝えるべきだろうに臆病な俺は電話に出ることもかけることもできなかった。





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