この熱は消えぬまま



午前の授業もあと1時間という休み時間、机に突っ伏していると女子に一之瀬くんが呼んでるよ、と言われて席をたち廊下にでると一之瀬がいつもの笑顔で寄ってきた。

「はーんだ」

にこにこと寄ってくるこいつはまるで子犬のようだ。

「なんだよ」

「教科書返しにきただけだよ」

半田も次使うでしょーと言われた。そういえば前の時間、数学の教科書を貸したような気がする。おまけに次は数学だということを思いだした。

「ありがとね」

「おー」

そう返すと一之瀬はにこっと笑って帰っていった。やけにあっさりと帰っていくもんだからびっくりした。いつもならもっといるのに。そう考えているうちにチャイムがなり席についた。

先生がくると早速、教科書開けー、と促される。ペラペラと目的のページを探していると自分のではない字が目に入った。一之瀬のだ、なんとなくそう思った。それを読んでみるとたった4文字だけなのにかぁっと顔が熱くなった。

「どうしたー半田?顔赤いぞ?」

「っなんでもないです」

先生にそういうと無理するなよ、と言われたがそれを無視してぽてんと机に額をつけた。額から熱が冷めていくと思ったがどうやら暫くはこのままのようだ。






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付き合う前なのか後なのかは依弥も分かりません←



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