「あら、ジュードじゃない!久しぶり〜。ちょっと見ない内に大きくなっちゃって、父さんも母さんも涙流して喜びそうね」

ア・ジュール王との謁見を終え、部屋から退室したところで背後から掛けられた明るい声。それはジュードにとってはとても聞き慣れた声で、彼は思わず額に手を当てて溜息を吐いた。

「姉さん…なんでここにいるの…?」
「え?どうして、って………えーっと?」

ジュードの言葉に、レイアを除く全員が驚いて背後を振り返る。するとそこには何やら本気で理由を考えているらしい一人の女性の姿があった。

「…わかった、質問を変えるよ。何がどうしてル・ロンドからここまで来たの?」
「えーっと…確かクラークさんとこのお産を手伝ったらその3日後に三軒先のルディアさんが急に倒れたって聞いて出張したらその4日後に五軒先のミーシャさんとこの子供が――」
「――つまり、いろんな人を治療していたらどんどんア・ジュールの方に行っちゃった、ってこと?」
「そうそう、そうゆうこと」

ジュードの言葉ににこにこと頷く女性と、余計に頭を抱えるジュード。それを見て、アルヴィンが話に置いていかれているメンバーを代表して問い掛ける。

「…なぁ、あの人は一体…」
「あ、申し遅れました。私、ジュードの姉で医者をしていますナマエと申します」

「弟がいつもお世話になってます」と丁寧にお辞儀をしたナマエに、アルヴィンも思わず「あ、どうも」と会釈を返してしまう。なんだか調子が狂う相手である。

「ナマエさん、お久しぶりです!急にいなくなったから心配してたんですよ!」
「あらあらレイアちゃんも可愛くなっちゃって!ごめんね、私もまさかこんなところまで来ちゃうとは思わなくって」

レイアににこりと笑い掛けるその姿は慈愛に満ちており、まさに医師の鑑。ほんわかへらへらとした雰囲気はきっと居るだけで場の空気を和ませるだろう。
そんな彼女に、ふとジュードが尋ねた。

「そういえば、姉さんはなんで此処に?」
「そうですよ。しかもそんなに資料を抱えて…」

レイアの言葉に「あぁ、これ?」と片手で抱えた大量の資料を見て、ナマエはにこにこと笑うとこうのたまったのだった。

「私、今この国の王の主治医なの」


姉、再会する。

(王…ってガイアスの!?)
(そうよー。あと軍医としても働いてるの。因みにこの資料は全部カルテよ)
(す、凄いです…)
(まだお若いのに素晴らしいですねぇ)
(いえいえそんなこと〜)
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