部活を終えて一息ついたところで、体育館中にけたたましい音が響いた。驚く周囲に「すみません」と謝りながらタケルが自分のバッグに近寄れば、やはり発生源はD―ターミナルだった。
ここ最近は使われていなかったそれを恐る恐る開いて、タケルは一通のメールを確認した。宛名は選ばれし子供たちの参謀こと泉光子郎からだった。
“―――高校から半径10km圏内にデジモン反応あり。至急確認に向かって下さい。僕も其方に向かいます。”
![](//static.nanos.jp/upload/i/imyi/mtr/0/0/20110520182353.gif)
簡潔に述べられた事実に、思わずD―ターミナルを落としかける。ここ最近光子郎から「デジタルゲートは安定している」と聞いたばかりだったため、余計に驚いた。頑張って飛んできたパタモンと途中で合流し、2人は走る。
サッカー部の大輔と賢は部活が延長。写真部のヒカリは部活が無く既に帰宅していた為来るのが遅れるらしかった。
「タケル!こっちからデジモンの気配がするよ!」
パタモンが指差した方から、ちょうど建物が壊される音が聞こえた。
周囲の人々が訝しげに音の出どころを目で追う。
「あ、あれは…!」
「ティラノモン…!」
タケルが目にしたのは、校舎らしきものをひたすら破壊するティラノモンの姿だった。
ふと、今朝瞭と話したことが頭をよぎる。
瞭の学校はタケルの高校の少し先にあると言っていた。さらに、この先に小中学校、あるいは他の高校も大学も無い。そう考えると、導き出される答えは自然と一つになる。
「まさか…!」
今朝「今日は部活がある」と聞いていたから、もしかしたら瞭はまだ学校に残っているかもしれない。
「急ごう、パタモン!瞭ちゃんが危ない!」
走るスピードを上げながら、タケルは嫌な予感を感じていた。