「あ、おはようございます」
朝練に向かおうと家を出て、鍵を掛けようとしたところで声を掛けられた。横を向けば、そこには僕とは違う制服を着た高科さんがいた。
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「おはようございます、高科さん」
「部活?」
「これから朝練なんで」
そう言ってバッグを持ち上げれば、高科さんはロゴを見て「あ、」と言った。
「もしかして、バスケ部?」
「はい」
「私もバスケ部。マネージャーだけどね」
そう言って高科さんが持ち上げたのは、色や大きさは違うけれど、僕と同じブランドのバッグだった。
それから面白い位に話が弾んで、結局僕と高科さんは、途中まで一緒に登校してしまった(高科さんの学校は僕の学校の少し先にあるらしい)。
「あ、高石君の学校」
「本当だ」
「ね、高石君って何年生?」
「1年です」
「やっぱり、私と同じだ。…高石君、私のこと年上だと思ってたでしょう」
「…ごめん」
「いいよ、よく間違われるから」
そう言ってからからと笑った高科さんに「敬語はナシね」と言われ、僕はじゃあ、と口を開く。
「僕のこと、名字で呼ぶのもナシで」
「ん、りょーかい。じゃあね、タケル君」
「うん。じゃあね、瞭ちゃん」
「今度試合出来たらいいね!」と言って走っていった瞭ちゃんを見送った僕は、教室に入るなり現場を見ていたクラスメイトの質問責めにあうのだった。