120506 鬼道と鬼道主でイナGO
(監督、鬼道の不安のすぐ後) (神童とは彼が小さい頃に面識有り) (夢主の名前は固定)
「あのー、感動的な青春話の中悪いんですがー」
着任するなり過酷なメニューを選手に課した鬼道監督。そんな彼にイレブンは困惑し時には反抗したものの、その真意に気づき彼の観察眼に全員が驚き改めて尊敬していた中、その声は響いた。 空気を読もうという気が全く感じられない声音である。どこか疲れたようにも聞こえるその声は女性のもののようだ。 声を辿って視線を上げた雷門イレブンが見たのは、グラウンドに降りてくる一つの影。逆光の中スーツケースを引きずって颯爽とこちらに向かってくる正体不明の人物に、雷門イレブンは軽く身構える。 と、鬼道が不意に笑って、小さく「やっと来たか」と呟いた。
「鬼道監督…?」 「遅かったな、ヒロ」
訝しげに尋ねた神童をよそに、ヒロと呼ばれた人物はずんずん足を速めて鬼道の前に来ると、スーツケースの取ってに乱暴に片手を置き、苛立たしげに口を開いた。
「『遅かったな』じゃないわアホ。こちとら仕事終わってすぐこっち来たんだから寝てないの!しかも何あれ長期休暇って聞いてないんだけど人の休暇を勝手に取らないでくれる?」
そう食ってかかる人物は声の通り女性だった。グレーがかった黒い髪は天然なのかウェーブでふわふわとしており、前髪から覗く瞳はきらきらと力強い輝きを宿している。
「それに関してはすまないと思っている。ただ時間が無くてな、こうするしか無かったんだ」 「…まぁいいけどね。時間が無いのは私もわかってるし。それに一応ジャージも持ってきたから」 「……もしかして、千尋さん?」
何かを思い出したのか突然ガタッと音を立てて立ち上がった春奈に、雷門イレブンは驚きの目を向けた。さらに、神童までもがハッとした顔をした。
「あ、あの、すみません!」 「ん?…あれ、君はあの時の…!」 「神童と知り合いなのか?」 「知り合いっていうか…彼が小さい頃にたまたま会ったことがあってね。少しサッカーを教えてあげたの」 「あの時はありがとうございました!」 「いいのよ別に。あれはただの気まぐれだったから」 「お前が誰かにサッカーを教えるなんてな…」 「有人喧嘩売ってんの。…春奈も久しぶり。元気そうで何よりだよー」 「あ、あの監督!その人は一体…」
状況がわかっていないイレブンを代表するかのように天馬がそう言うと、女性が「あ、自己紹介しないとね」と天馬達の方を向いた。
「私の名前は深道千尋。ま、今は鬼道って名字なんだけどね。一応ここのOG、かな?」
そう何気なく言われた言葉に、雷門中サッカー部の面々はぴしりと固まった。
深道千尋といえば、女子サッカー日本代表を世界大会優勝に導いた立役者である。MFからGKに転向したものの全てのポジションをこなすオールラウンドプレイヤーであり、その実力は男子サッカー界でも通用しうると言われる名プレイヤーだったが、ある日突然結婚を理由に電撃引退したというのは有名な話である。
しかし、今の彼等に取って何より衝撃的だったのは彼女の正体ではなく。
「…ええええええええええええええええええええええッ!!!???」
鬼道に奥さんがいたという事実である。
(鬼道監督、結婚してたんだ…) (てっきり独身貴族かと…) 「お前達聞こえているぞ…!」 「ま、まぁまぁ有人…」
---------- 鬼道夢主がイナゴに出たら。多分初登場はこんな感じ。鬼道さんの要請でイタリアから戻ってきました。円堂さんが戻ってくるまでの間雷門のコーチ兼監督補佐をしていくことに。因みに夢主は鬼道さんの人気に配慮して誰と結婚したかとかは公にしませんでした。そして多分そのせいでマスコミが誰と結婚したのか騒いで夢主と公私共に仲が良い不動とか照美とか吹雪とかが旦那なんじゃないかといろいろマスコミに嗅ぎまわれて迷惑を被ってたり。そこらへんはいつか書きたいです。
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