110714 うたプリアイドル主
(アイドル主名は川端真琴/作曲家主名は追川日向)
「………」
今、私の目の前には真っ白な紙が置いてあった。 紙の一番上には「中間試験」の文字。 ごくり、と喉が鳴る。
(白紙提出…してやるんだから……!)
入りたくて入ったわけではないこの学校。 よくわからない校長に引きずられ、意見を全てスルーされて強制的に入れられた学校。 自主退学さえさせてくれない。
そこで、私は考えた。 だったら、退学させざるを得ないようにすれば良いじゃない!と!
(そうよ……名前だけ書いて、後は寝てればいいのよ…やるのよ真琴…こんなとこ出ていきたいなら、やるしかないのよ…!)
しかし。
―――真琴ー?まさか、白紙提出なんて、しないよねぇ? ―――えっい、いやだなー日向!私がそんなことするわけないじゃんなにいっちゃってんのよもーあはははは!
ふと頭をよぎった会話に、伏せようとしていた腕が固まる。
(これ…日向にバレたら殺されるんじゃ……?)
あの子のことだ。裏切ったらそれこそ地の果てまで追ってきそうな気がする…な…あはははは…。
そしてさらに芋づる式に浮かぶ、嬉しそうなお母さんとお父さんの顔。
―――学費タダですって!?素晴らしいじゃない! ―――正直うちの家計じゃ普通の高校は大変だったからなぁ!しかもアイドルだなんて、母さんも目指してたんだよな? ―――えぇ!まさか真琴にチャンスが巡ってくるなんて!
…二人共、退学になったらがっかりするだろうなぁ。
視線を試験用紙に落とす。 白紙提出なんてしたことないから、なんだろう、すごく胸が痛い。 時計を見れば、試験終了まで後10分。 後10分。10分だけこの胸の痛みを我慢すれば、あとは自由が待っている。 ……待っているのにっ!!
(うわあああああん校長のバカやろおおおおおおおお!!!!)
ちくしょうと胸の内で叫び、私はシャーペンをひっつかむと勢い良く走らせる。…私には、白紙提出なんて出来ない!!!
(…98点……)(川端すっげー!)(あいつ白紙提出するつもりじゃなかったのか?)(彼女の性格では無理でしょう)(真琴ちゃんは真面目だからねぇ)
---------- 白紙提出ってなかなか出来ないですよね。いや普通やらないと思いますが。 真琴はこんな子です。不憫すぎる(笑)
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