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コウキとヒカリ
「コウキくーん!じゃーん!」
その声とともに僕の視界は真っ暗になった。
顔面に突きつけられたヒカリのミミロルを顔からはがして抱き抱えながら彼女の話を聞くには、今日コトブキでシンオウNO.1のミミロルを決めるという大会があるらしい。それに出場するためにお揃いで作ったワンピースを披露しに来たそうだ。2人は水色のワンピースに身を包み、頭にもお揃いのリボンをつけていた。
「ね、可愛い?可愛い?」
「はいはい」
「コウキくんも暇なら見に来てよ!私とミィちゃんの勇姿見ないと損だよ」
半ば無理矢理連れて来させられたコトブキは確かに平時とは違った賑わいを見せていた。何せミミロルを連れたトレーナーが多い。中にはトレーナー自身がミミロルの着ぐるみのようなものを着ていたりと、見慣れない光景に少し驚きながらも、広場へと向かった。
大会が始まるのをベンチに座って待ちながら横のヒカリを見ると柄にもなく緊張しているようだった。さっきからずっと口を結んでスカートの裾を弄っている。いつもは持ち前の明るさで緊張なんて見せることはないのに。
「ヒカリがそんなんだとミミロルも緊張しちゃうよ」
そう言ってやると彼女はいつものように柔らかい笑みをみせた。と同時に参加者を呼ぶ指示が聞こえた。
お揃いのワンピースでダンスとミミロルの即興で歌を歌うという特技を披露した結果、優勝はならなかったが"コトブキ賞"なるものをもらっていた。後日テレビにも少し映るらしい。
帰りはのんびりと話しながら歩いて帰った。ヒカリはいつもに増してよく笑った。本当に幸せそうに笑った。トレーナーが自分のポケモンを愛するのは当然だ。でも今の様な彼女の笑顔は彼女のパートナーになったポケモンたちは本当に果報者だなと思わせる。そして一緒にいる自分までふわりと優しい気持ちに、幸せになれるのだ。
「色んな人に可愛いとか凄かったとか、誉められすぎちゃったよ」
「コウキくんはどうだった?」
「うん、可愛いかったよ」
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3月3日は耳の日