ななつぼし





 12月24日
 世間はクリスマス一色。今月に入って、ポケモンセンターやショップの一角にはクリスマスツリーが飾られ、屋根や壁や街路樹にも電飾が光って賑やかな夜が続いていたが、今日はなんといってもイヴである。街を歩く人々も複数で連れ立って歩く人が目立ち、街全体がどこか浮き足立った雰囲気なのも、もっともなことだと思う。
 そんな中、悲しいかな、僕はみんなの楽しい楽しいクリスマスイヴにプライベートの予定は入っていない。まぁそれは毎年のことだし、博士の手伝いはいつも通り変わらずあるわけなので特に気にしていない。当日になって朝のニュースで今日がどんな日なのか気付く。そんな程度である。

 毎年の通り、研究所から帰って家族でいつもより少し豪華な料理やチキンを食べ、プレゼントをせがむ妹にポケモンドールをやり(ごねて泣かれるのが面倒なので多少の恥をしのんで買うのだ)、ケーキを食べて自室でなんとなく気になっていたDVDを見る。
 パターン化したもはや定例となりつつある、余りにも正確に予期できる未来。むしろこれに抗う気はない自分がこの毎年の一連の流れを習慣付いたものにしているのだろう。
 だが今年は違った。
 誰もが心踊らせるクリスマスイヴの朝、いつもと同じように目を覚ました僕は何故かその時、とある少女の言葉を思い出したのだ。

 「明日はクリスマスイヴだね、コウキくん。」


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