言わない言葉




12月31日 午後8時すぎ
1年の最後の日。私は家でママと年越しうどんを食べつつ年末のバラエティ番組を見ていた。外は冷たく雪が降っている。


「雪降ってるね。積もるかなあ。」

「ここじゃあ積もらないでしょうね。最後に積もったの、2・3年前じゃない?」


テレビではズルッグと芸人がコントのようなことをしていた。それが面白くて笑う。毎年同じような内容の番組だが他にすることもなく、なかなか面白いので時々笑いながらぼーっと見ていた。


「あっそういえば今日は…」


ん?とママの話に耳を傾けた、と同時にライブキャスターが鳴った。にこっと笑ったママにごめん、と一言言って音が鳴ったままのライブキャスターを持って自室に駆け上がった。
呼び出しはトウヤからだった。


『もしもし、トウコ?ごめん、もしかして忙しかった?』


「ううん、リビングにいたから部屋まで上がってきただけ。」


『そっか。あのさ、トウコ今から暇?ちょっと外出れる?』


「えぇ、今からぁ?えー寒いよなんでー トウヤがうちに来ればいいのに。」


『いや、ちょっと見せたいものがあるんだ。』


「見せたいもの?外に?今じゃないと駄目なの?」


『うん。今日じゃないと。言っとくけどすごいよ。絶対トウコ叫ぶくらい驚くと思う。』


「うー でも寒いよー」


『じゃあいいよ、俺一人で見てくる。』


「あっ待って、行く行く!私も行くから!」


『 ほんとに?じゃあ今からフキヨセ側のネジ山の前。いつもみたいな寒いカッコしてくんなよ、マフラーちゃんとして』


「わかったわかった!すぐ行くから!切るよ!」


そう言いながら自室を見渡し、赤のマフラーを引っ掴みながら黒いダウンジャケットを羽織り、階段を駆け降りた。
私の騒ぎ様からか、ママはニコニコしているだけで何も言わなかったが、玄関先でカイロを渡された。2つ。

家の中が暖かかったからだろう、外は想像以上に寒く、そしてひんやりと雪を感じた。モンスターボールからウォーグルを出し、浮き立つ心を抑えながらそらをとぶでネジ山を目指す。



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