ヒロイン死ネタ注意



「―――!!」


強く身体を揺すぶられたかと思うと顔に温かい滴が降ってきた。同時に身体を襲う鋭い痛みに顔が歪む。
目の前には泣きそうな顔の三成くん、というか泣いていた。そうか、私の顔を濡らしているのは三成くんの涙だったんだね。さっきから何か言ってるみたいだけど、何も聞こえない。私の耳はもう駄目になったらしい。

「泣かないでよ、三成くん…」

ちゃんと言えたかな。きょとんとしてから一層口の動きが激しくなったから多分聞こえた筈だ。本当は涙を拭ってあげたかったけど腕は上がらない。上げる腕はなかった。気付くと更に痛みを感じるようになる。気付かなければよかった。目を開けることまで辛くなるなんて思わなかったのに。

「死にたくないな…」

こんなこと言ってもどうしようもないのに。せめて三成くんが何を言っているのか聞きたかった。声が聞きたかった。
楽しかった日々が走馬灯のように浮かんでは消える。なんて、比喩してみたけれど、これがきっと走馬灯なんだろう。

「もっと、一緒にいたかった…」

痛みが段々薄れていく。意識が真っ白に包まれていくような不思議な感覚。ふわふわする。嫌だ、死にたくない。私の目からも涙が流れた。三成くんを一人にしたくない、私が独りになりたくない。ずっと一緒に笑っていたかった。三成くんもそう思ってくれてるといいな。

「ごめんね、大好き。」

もう目を開けることはないだろう。私は今笑っているかな。三成くん、悲しまないでなんて言いたくない。悲しんで、哀しんで私が必要なんだって抱き締めて欲しい。嫌な女でごめんね。願わくば、貴方の中を私で…―


「ずっと、私の傍にいろと言っただろう…っ私を置いて逝くな…!」












あとがき

実は死ネタは正直好きじゃない。でも何故かこんな鬱々した話しか浮かばない不思議。三成くん本当ごめんね。明るい話が書きたいんだよ、本当は。






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