夢主ちゃんは豊臣の一員。



バンッ、と大きな音をたてて襖が開かれた。私達は反射的に音がした襖の方に武器を構えた。そこには危機迫った三成くんが立っていた。余程急いでいたのか、肩が上下に動いている。

「三成くん、襖は静かに開けて欲しいんだけど」

私は武器を下ろし、嫌悪感を隠さない声色でそう言った。だが、三成くんにはそんなこと関係ないようで低く私の名前を呼んだ。その声が彼の宿敵である家康を呼ぶ声に近く、肩がビクリと震えてしまった。何故家康は笑って流せるのなのだろうか。…あれだけしつこく呼ばれれば慣れるのだろうか。まあそんなことより、何故三成くんがこんな所―と言っても官兵衛に宛がわれた部屋なのだが―に来たのか。まあ、待っていれば勝手に向こうから話してくれるだろうが。

「…貴様、今すぐ赦しを請え。」

どうしよう、全く意味がわからない。なんで三成くんがここまで怒っているんだろう。官兵衛がチラチラこっちを見てくる。私だって三成くんが怒ってる訳なんか知らないよ。心当たりも無…ああ、あれか。

「別にいいじゃんか。私だって太閤方と仲良くなりたいんだし」

何故に三成くんが怒っているか。それは私の所為であろう。今日の昼のこと、この前の戦で手柄をあげた私は半兵衛様より何か褒美を頂けることになったのだが、何を思ったのか…「でしたら、太閤と半兵衛様と川の字で寝てみたいですね」なんて文不相応な申し出をし、あろうことか承諾されてしまったのだ。

「…貴様、自分が何言ってるかわかっているのか?」
「でもさー、太閤も半兵衛様もいいよ、って言ってくれたんだよ。許可くれたんだよ。」

何故許可をくれたのか、それが謎である。あ、官兵衛が迷惑そうな顔でこっち見てる。ハハハ、ごめんね。だがもう少し入り浸ってやる。別のことを考えていると三成くんの額の青筋が増えた。そこまで嫌なら私じゃなくて、太閤方に言えばいいのに。

「何、もしかして三成くん。太閤方にやきもち焼いてる?私を捕られるかもーみたいな。」
「そんなことは有り得ない。」

いや、真顔で否定は寂しい。冗談なんだから軽く流して欲しかったな。まあ、三成くんに期待した私が悪いんだけどね。
多分、三成くんも太閤方と一緒に寝たいのかもしれない。昔から我が侭言わない子だったし。…実は一人が寂しくて寝れないとか。だから睡眠が摂れてないとかだったらどうしよう。寝ないんじゃなくて、寝れないか。笑えるな。

「何がおかしい。」
「あれ、笑っちゃったってた?いやあ、折角だから太閤に頼んでさー、太閤と半兵衛様と私と三成くんと刑部で雑魚寝しよーよ。」

ニッと笑ってやると、三成くんは顔を背けて「まあ悪くないな」と小さく呟いた。素直じゃないなー、全く…。では早速頼みに行きますか。

「あれ、誰か忘れてるような…?」

視界の端にちらつく影が首を縦に振っているのが見える。そしてその後ろの窓から射し込む太陽の光。逆光で首を振っている人の顔は見えないが私は思い出すことができた。

「そうだ、安芸に行こう。」
「何故じゃぁぁぁあ!!」


これが豊臣の日常!…だったらいいな…


(最終的に、太閤と半兵衛様と三成くんと刑部と毛利さんと官兵衛の皆でおやすみましたまる)







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