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金属と金属のぶつかり合う音がする。
相変わらず、否それ以上の戦闘力を持っていたヒバリに骸は相打ちこそ出来るが、戦闘を優位に進められるほどの余裕はない。
「どうやら彼女がいるようですね」
「さあ」
ここまで来てはぐらかすか。
「もしかして沢田綱吉と付き合っていた時の浮気相手、とかですか」
「……さあ」
ヒバリの感情は正直だ。眉を潜めて返答するのに少し間があった。
五年も続いていたのか。骸はその事に素直に驚いた。
「何故彼と別れずに『浮気』していたのですか」
五年も一緒にいるのならば、その思いは本物だ。それが雲雀恭弥ならば、相当なものだ。
ならば何故彼と名ばかりの関係を続けていたのか。
残念なことに、骸にはヒバリの真意までは読めない。
「君には関係ないだろ」
「僕は早く彼に君のことを忘れてもらいたいんですよ」
普段は何事もなく過ごしているが、ヒバリとの事を引きずっているのは誰の目にも明らかで、だからこそ誰も何も言わなかった。言えなかった。
「忘れさせることが出来ないのなら、彼にとって君は、その程度だって事だろ」

話すのに飽きたのかもう用はないとでも言いたげに背を向けて彼は歩き出す。
「一瞬でも彼のことを好きだったことはあるのですか」
此方だって出来れば話などもうしたくない。
しかしこれだけは言わなければいけない。ずっと気になっていた。もし彼が肯定すれば沢田が救われるような気がした。
背中に向かって言葉を投げつけるとヒバリは少し間があってから、
「そんなに昔のことは忘れたよ」
とだけ言って更に歩いて見えなくなっていった。
(答えたくない、ということですか)
骸はもう用は済んだ。10年前にいる必要はない。
しかし戻るまでまだ時間がある。その間に頭の中を整理したかった。
普通を装っていたが、先程の出来事は不可解だらけだ。

まず、何故彼が10年前に来れたのか。10年バズーカはボヴィーノファミリーしか持っていない筈だ。それにヒバリは既にボンゴレの守護者からは外れているため、ボヴィーノファミリー直々にバズーカを借りるということはほぼ不可能だ。

そして沢田綱吉の暗殺計画。何故彼は彼を殺そうとしたのか。いくら戦闘が好きだからといってもヒバリは余程の事がない限り、とどめはささない。
そして「ルイーザ」と言う聞き覚えのある名前。
「まさか」
この予想が当たっていればとんでもないことになる。
骸は嫌な汗が一筋、頬を伝うのを感じた。
そして外れて欲しいという絶望的な願いを抱きつつ、時間が来たので煙とともに過去を後にした。

一方、骸と別れたヒバリは僅かに上浮きに口の端を上げて、呟いて、自身も煙の中へと消えていった。

「さあ、楽しいショータイムの始まりだ」
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