3
……なんかおかしい。



まるで獄寺くんや山本が知らない人みたいな…



俺は遅刻魔なのに、獄寺くんは遅刻なんてしたことないという。


獄寺くんが嘘を言うとは考えにくい。



じゃあ獄寺くんの言っている『俺』は誰…?




「10代目…?」


「あ、ごめんっなんでもないよ」



嘘だ。なんでもないわけはない。


ここはホントに俺のいた『並盛』なのか?


不安で堪らない。


でも、今は落ち着いて冷静に考えなきゃ。


あれこれ考えたって始まらないんだから…



ガタンッ


俺は自分の机に座った。


(これは変わってない)


ほっとした。無機物まで変わっていたら落ち着かない。



そうこうしているうちに授業が始まった。



見知った先生。いつもと変わらない授業。


いつもは退屈で仕方がないものだが、今は安らぎの場所へと化した。




(今のところ、『俺』以外変わったところはないな…)


でも、胸がいたい。何か大事なものを失ったような…



それが何か思い出せないけど…



(…誰か、今の『俺』を知っているやつはいないのか…!!)


心のなかのその声は俺の中をぐるぐる回ったあと、消えていった。
[ 3/10 ]
*Prev表紙Next#
top
×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -