「…わ…」
―沢田綱吉…
(誰か俺を呼んでる…?)
辺りには俺以外誰もいないのに。
「あなたは誰ですか?」
するといつの間にか俺の前に人がいた。
その人はふっと笑って、綺麗な指で俺の頬に触れた。
「愛している」
「―!」
いきなりで俺は頭が混乱した。
愛してる?目の前にいる人が俺を?
さっきは逆光で顔がよく見えなかった。
だけど、顔をあげたら、はっきり顔が見えた。
「ー!!」
ガバッという効果音付で俺は起きた。
いつもと同じ部屋。いつもと同じ光景。だけど、俺はどこか違う気がした。
(何かが足りない…)
でも、自分の部屋から消えたものは見たところない。
(…夢のせいか)
俺はそういうことにして、立ち上がった。
(…あの人、誰だったんだろう)
夢の中で、俺のことを愛してるといった人。
顔ははっきり見たのに、誰だか思い出せない。
だけど、知っている人だった。
すごく、すごく知っている人。
(ま、いっか)
所詮夢だもんな。
俺は自己解決して、学校に行くことにした。
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