「そう言えば、なんで俺がまだヒバリさんのことが好きだとわかったんですか?」
素朴な疑問だ。恐らく5年間一度も会ってなかったのだから、知る術はなかったはずなのだ。
雲雀は薄く笑うと、ポケットに手を入れた。
中から取り出されたのは沢田が雲雀に宛てたあのラブレターだった。
「そっそれ…」
「君の部屋で見つけてね」
「まさかっ全部…」
「全部というか引き出しに入っていたやつは全部貰ったけど」
ああああ。ヒバリさんだったのですか、と頭を抱える。
「じゃあ、一ヶ月毎に俺が眠くなって、気が付くと毛布がかかってたり、書いてた手紙の代わりに無言の紙を置いていったのもヒバリさんの仕業ですか?」
「うん、眠くなったのは僕のせいじゃないけど。まあそうだね。」
雲雀の話では、今まで一ヶ月毎に赤ん坊とは会っていて、あの日、雲雀は赤ん坊に頼まれて、沢田の部屋にある書類を取りに来たのだ。
すると、中では沢田は爆睡していて、手紙を握っていた。
好奇心で中を見ると、自分に宛てられたもので。
そして半開きになっていた引き出しに入っていた自分宛ての手紙を持ち帰り、読んだのだという。
代わりにそこら辺にある紙を置いていった。
多分すぐバレるだろうと思っていたが、あまりにも沢田が鈍く、あげくの果てに見合いをするとか言い出したので、行動に出たらしい。
「そうなんですか」
ということは、あの恥ずかしいプロポーズ紛いの手紙も読まれたということだ。
「でもその前から君の気持ちは知ってたよ」
え?と沢田は訳がわからなくなる。会ってもいないのに、なんで俺の気持ちがわかるんだ?
「僕をバカにしないでくれる?沢田はバレバレなの」
勿論別れるときも沢田が、雲雀には好きな場所で生きてほしいと願ってのことだということも知っていた。
もっと強くなったら迎えに行こうと思っていた。
赤ん坊の話から、まだ僕が好きらしいと聞いていたし、とすました顔でいう雲雀を見て、リボーンめと沢田が思ったのはここだけの話。
「もう二度とそんな別れ話はごめんだね」
「…ごめんなさい…」
俯く沢田の顎を持つと、雲雀は沢田の唇に触れた。
「もう離さないから。あんな手紙もう書かなくていいからね」
それが雲雀の返事。
沢田は涙目になりながら、雲雀に抱きつく。
「はいっ…」
書かなくなったラブレター〈end〉
2009.06.03
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