「ん……」
ふと気が付くと時計の針は、また一回転進んでいた。
(マジかよ、あはは……)
苦笑いしか出てこない。とりあえず体を起こすと、肩から毛布がずり落ちた。自分で毛布をかけた記憶はない。
「あれ……。もしかして誰かが入ってきた……?」
不味い。リボーンにバレたら説教では済まされないと嫌な汗が背中を流れていく。けれど、毛布かけてくれたということは沢田が寝ていることを知りつつ、見逃してくれたに違いない。リボーンに見つかったわけではないようだ。見知らぬ誰かに感謝した。
「ってあれ?」
しかし違和感を感じて机を見ると、あれほど積まれていた書類の山が忽然と消えていた。
「どこにやったのかなあ……」
泥棒に入られたとは考えにくいので、恐らく毛布をかけた人物が持っていったのだろう。
しかし念のため沢田は部屋中を探し回ることにした。
引き出しを開けると、沢田は吃驚した。
「…ない」
自己満足で書いてこっそりしまっていた雲雀へのラブレターがなくなっている。引き出しが空っぽなのを見ると、すべて持っていかれたらしい。
「えっ…ちょっ…」
沢田は慌てた。今や沢田が雲雀をまだ好きなのは守護者の間では周知の事実(雲雀以外)。
だからといって、あの手紙は見られたら恥ずかしすぎてまともに彼等と顔を合わせることなど出来ない。
普段なら鍵をかけて厳重にしまっているのだが、今日は手紙を読み返したから、鍵をかけ忘れたまま寝てしまった。
しかし曲がりなりにもボスの引き出しを漁ってどう見ても私物のそれらをごっそり持っていけるような強者はこのボンゴレの中では数えるくらいしかいない。しかも、この手紙の存在はたった一人にしか知られていない。
(こんなたちの悪いことするなんて、あいつしかいない)
沢田は立ち上がると、執務室を後にした。
奴から手紙を取り返しに。
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